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話をしよう
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side ちとせ
朝日が昇る頃に目が覚めてすっきりと軽い気持ちで起き出す。カーテンを開けて窓も開ける
しんとした空気とでも言えばいいのか、夏の早朝独特の涼し気な匂いと風。すーっと大きく吸い込めば心地いい
「はぁぁ〜」
深呼吸するように吸った空気をゆっくり吐き出す
「会いたい…かも…」
誰が聞いているわけでもないのに恥ずかしくなって、かもを付け加えてみた。意味なんてない
自分の中で決めたこと
『好き』は言わない。でも、言いたいことは言う。我儘も言う。不満も不安もちゃんと言う
それを聞いてどうするかは斗真次第だ
だからとりあえず、話がしたい。ずっと考えていたこと、言えなかったこと、聞きたいこと、それらを会って話したい
この間斗真は俺に『言ってくれないとわからない』って言った。あの時俺はそれを無視してしまったけれど、きっと今からでも話したら聞いてくれるし考えてくれる
なんて言って誘おう?いつも斗真が誘ってくれるから、俺からメッセージを送ることさえ稀だ
どうしようか考えながらスマホを手に取るとロック画面に斗真からのメッセージが表示されていた
『土曜空いてるか?』
たったそれだけの短い文章。それに嬉しくなってしまうのだから恋とは儘ならぬものだ…なんて他人事のように考えながら『空いてる』と返した
日が高くなり始めた頃に斗真から返事が来た
『昼過ぎに迎えに行く』
それを見て、デートという単語が頭に浮かぶが首を振ってそれをかき消す
話をする。それが俺の目的だと言い聞かせる
だけど土曜が待ちきれなくて、数日の間ずっとそわそわと落ち着かない気持ちで過ごした
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