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斗真とゆづる side斗真
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side 斗真
数日、ちとせと普通の恋人同士のような日々を過ごした。ただただ楽しかった。視界に入って思わず頭を撫でても睨まれなくなったし、目が覚めたらちとせと目が合うことがあったし、キスしても嫌がられなくなった。無視されて怒ると気まづそうに目を逸らして返事をするが怯えるようなことはない。
一緒にいて当たり前…そんな雰囲気。
家に送ると言うと不服そうな顔をされた。理由が何にせよ、帰りたくないと思っているようで嬉しいと思った。
そんなことを思い出しながら広場でゆづるを待っていた。約束の10分前に黒い車が広場の前に止まってゆづるが車から降りてきた。俺を見つけるとパッと満面の笑みを浮かべて走り出す。
「斗真さん!おはようございます!」
「あぁ、おはよう」
答えるとゆづるは腕に腕を絡めてくる。暑いとは思うが好きにさせる。
「どこ行くか決めたか?」
「本屋さん行きたいです!」
そう言って歩き出す。あちこちキョロキョロと見まわしながらゆづるは楽しそうに話し続ける。俺は相槌を打つ。
本屋に行って、昼飯を食べて、ウインドウショッピングをして、コーヒーの美味しいカフェでのんびりと過ごす。ゆづるの行きたいところについて行くのはいつものことで、ゆづるの行きたいところの全てが俺の好きなものや場所ばかりなのもいつものことだ。
夜になるとゆづるはソワソワと落ち着かない様子になる。
「あ、あのっ今夜って…」
何を言いたいのかはわかっている。そのことを含めてゆづるには話したいことがあった。
「ゆづる、話したいことがあるからそこ座ろう」
「……」
「…セフレとしての関係を終わらせたい」
「……」
ゆづるは俯いたまま何の言わない。
「こうやって2人で遊びに行くこともあまりできない」
「……」
「本気なんだ、わかるよな?」
「…は、ぃ」
絞り出すようにゆづるは答えた。
泣いている。わかっている。手も肩も震えている。
『悪い』と言う言葉が喉まで出かかって飲み込む。ゆづるはそんな言葉を望んでいないし、そんな言葉が慰めになるわけでもない。震えるその細い肩を抱いてやりたいと思う。俺たちは今までそう言う関係だった。でももう今まで通りではいられない。
「もし、もしちとせ君と上手くいかなかったら…」
震える声でゆづるは縋るように言う。
「…上手くいかなくても、もう決めたんだ」
「………わかりました」
ゆづるが立ち上がる。その背にどうしても言わずにいられなかった。
「守ってくれるやつ、見つけろよ。お前なら…」
大丈夫だ、なんて無責任だよな。それでも何か言いたかったんだ。俺たちはただのセフレじゃなかったから。
だがゆづるがくるりと振り返った。泣きながら無理やり笑って言葉を紡ぐ。
「斗真さん、僕、斗真さんが思ってるより強いんですよ」
あぁ、知ってる…
「意外と図太いんです」
そうだな…
「もう、斗真さんに守って貰わなくても…だい、じょぅぶなん、です」
ぼろぼろと溢れる涙を無視して、ぐしゃりと可愛らしい顔を歪めて、精一杯そう告げると今度こそゆづるは背を向けて歩き出した。
その背を見つめる。本当にこれでよかったのか、わからない。ちとせと出会う前の俺ならきっと気にもしなかったと思う。精算するなんてあり得なかったと思う。でも出会ってしまったから…
もういっそ、ゆづるには俺がちとせと出会わなければよかったのにと思って欲しい。ゆづるは苦しむだろう。いつだって俺を最優先に考えるから。幸せを願ってくれるから。自分の感情との狭間で揺れて、押し殺そうとするだろう。
ゆづるは俺にとって『特別』だった。
その特別を捨ててでも、ちとせの傍にいたいと思った。それでも捨て切れない想いに心は重たくなった……
* * * お知らせ * * *
作者です!
読んでくださってありがとうございます✨
いいねやお気に入りの数が増える度に舞い上がっております(´∩ω∩`)💕
ゆづるには幸せになって欲しいし、斗真との関係ぼかしてるし、これからちょくちょく出現させたい!と思ってたんですけど、ちょっと今月忙しくて暫く更新できない日が続いたりするかもしれません!毎日追いかけてくださっている方がいらっしゃったらすみません💦
下書きもこれが最後なんです😭😭😭
宣伝なんですけど!こっちを更新できない間にちょっとだけ書き進めてた『ちゃらお君の恋愛事情(仮)』は2日に1回くらいのペースで更新する予定です!その間に頑張って書きます笑
恭弥のイメージ崩壊する可能性あるんですけどよかったらそっちも読んでやってください😆
それでは私の趣味に付き合ってくださっている皆様、びーらぶ沼にどっぷりしっかり嵌ってしまった同志の皆様、夜更かしし過ぎないように健康的に生きましょうね😂
またお会いしましょう(*ノシˊᗜˋ*)ノシ
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