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浴衣
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side ちとせ
土曜のお昼過ぎ、言っていた通り斗真が迎えにきた。準備があると言われ夏目さんの運転する車で斗真の家へ向かった。
(俺が行けばよかったんじゃ…?)
そう思ったがどこに行くとかそんな話はしていなかったし、今更そんなこと言ったって無駄かと口には出さなかった。
車の中では『元気にしてたか?』なんて話をしたが、やっぱりゆづるとどうだったのかは聞けなかった。
家に着くと斗真に和室に連れて行かれた。
「初めて来た」
「ほとんど使ってないしな」
そう言うがやはり綺麗に掃除されていて、日当たりもいいらしく畳のいい匂いかする。
「どっちの方が似合うと思う?」
「…どちらもお似合いになるとは思いますが、両方試してみては?」
「そうだな。下がってていいぞ」
入り口の側で静かに佇んでいた夏目さんに斗真が声をかけて何やら話した後、夏目さんはお辞儀して静かに部屋から出て行った。
「ちとせ、ちょっとこっち来い」
呼ばれて近づくと
「とりあえず服脱げ」
「は?」
思わず真顔で返してしまった。
「……何もしない」
斗真は何とも言えないような顔で唸るようにそう言った。
真意はわからないが何もしないと言っているし俺は下着一枚を残して服を脱いだ。何度も斗真に裸を見られているとは言え、羞恥心がなくなるわけもない。ましてや斗真に対しての自身の想いを自覚したばかりなのだ、普通に恥ずかしい。
斗真が何か黒ぽい布?を持って近づいてくるが、何となく目が合わせられなくて視線を逸らす。斗真は俺の後ろに回った。
「腕通してみろ」
「?」
首だけ後ろを向くと斗真が手に持っていた布を広げていた。よく見るとそれは浴衣で、なぜ?とは思うものの大人しく袖に手を差し入れる。
両手を通すと斗真が肩まで上げて掛けると前に回って襟を併せ、全体を整えながら帯を巻き始めた。帯を結び終わるとまた色々なところを見て直していく。しゃがみ込んで裾を触ったり項辺りを確認したりと斗真はせっせと動き回る。
それら一連の流れが恭しく世話をされているようで気恥ずかしい。
「よし」
そう呟くと少し離れて満足そうに俺を眺めながら頷く斗真。
「ちとせ、後ろ向け」
大人しく言われるがままに背を向ける。
「……甚平も着せてみようかと思っていたが、浴衣が似合うな。髪は後でやるからリビング行ってていいぞ」
そう言って和室を追い出されたため言われた通りリビングに向かった。
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