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浴衣(2)
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side ちとせ
「なんで突っ立ってるんだ?」
「!?」
ぼーっとしていたら急に背後から声を掛けられて飛び跳ねそうになるくらい驚く。
「ふはっ…びびりすぎな」
わしゃわしゃと後ろから頭を撫でられ、恥ずかしくなってその手を払おうとしたがサッと避けられて斗真が離れていった。
その背を見ると斗真も浴衣に着替えていて驚く。
「斗真も浴衣…?」
くるりとこちらを向いた斗真も俺のと同じような浴衣を着ていた。紺色の生地に白色の細い縦縞模様の浴衣は斗真の長身を更に強調しているようで、とてもスタイルが良く見える。何より顔が良いためとてもよく似合っていた。
(かっこいい…)
そもそもなんで俺が浴衣を着せられたのかも聞いていなかったが、斗真も着ているとなると祭りでもあるのだろうか…
「学校の裏の道からちょっと行ったとこに神社あるだろ?そこで今日夏祭りやるんだと」
「行くのか?」
「…祭りは嫌いか?」
少々不安そうに聞かれてぶんぶんと首を振る。
「楽しみ…」
「そうか」
斗真がふわりと笑った。よく斗真は『そうか』って言うけど、今まで見たことない顔で、聞いたことない声色でそう言われて一気に顔が熱くなる。
ばっと後ろを向いて顔を見られないようにした。
「トイレ!!」
そう叫ぶように言ってトイレに駆け込む。
ほっぺたが熱い。耳まで熱い。だめだ、斗真のあんな顔は無理だ。
(ずるいだろ!何あの顔!笑った顔は何度も見てるけど、なんか、なんか!!何!あれ!!!)
トイレの中で頭を抱えて座り込む。うわぁー!って叫び出したいのを何とか堪えて口を抑える。
(こんなんでバレないようにできるのか!?)
無理だろ!と自問自答する。
しかし、『バレたら終わる』そう考えた途端にすっと冷静に、というか血の気が引いて落ち着いてくる。
すぅ、はぁ…と深呼吸を繰り返してすくっと立ち上がる。
冷静さを取り戻してトイレから出てリビングに戻ると斗真がこちらを見る。だがもう平気だ……
「トイレ流したか?」
「え゛っ」
一瞬で冷静さは吹っ飛んだ。
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