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浴衣(3)
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side ちとせ
トイレしていないのに流すのはもったいないと思いつつも流すしかないためボタンを押す。
ジャーーっと音がしてやや疲れた気持ちでトイレから出る。
「ちとせこっち来い」
洗面所から顔を出した斗真に呼ばれて行くと棚や引き出しから色々と出して頭を弄り回された。しかし俺は斗真が何をしているのかわからなかったし、最終的に変わったとわかるのは前髪がピンでとめられたという事くらいだった。
「…これから前髪時々とめろ。家でだけな」
「はあ……?」
よく分からないが適当に返事をしておく。
その後斗真が自分の髪をセットし始めたのを眺める。鏡越しに目が合うと斗真がニヤリと笑う。
「見惚れてる?」
「ふぁ!?そんなわけないだろっ!!」
びっくりしすぎて変な声が出た。
くすくすと笑う斗真が自身の手首に香水を付けて、ふとこちらを見た。一瞬考えるように手元に視線を落とした後こちらに近づいてきて、手首を合わせてから俺の首筋にぐいっと擦り付けてきた。
「ちょ、何してんだ」
「マーキング?」
なんだそれは…と思いながら睨みつけていると斗真が自身も首筋に香水を付け片付けを始めた。
片付けが終わると斗真はリビングに向かった。その背を追いかけながらふわりと香る柑橘系の匂いが自身からも斗真からもすることに、何とも言えないむず痒い気持ちになって、でも嬉しくて口元が緩んだ。
「祭りって何時から?」
切り替えようとソファに座った斗真に話しかける。
「一応15時くらいから店は出してるらしいからもう始まってるな」
時計を見るともう16時を過ぎていた。
「もう行くか?」
窓の外に視線をやれば日は傾いて来たとはいえ見るからに暑そうで、そんな中を歩き回るのは遠慮したい。
「もうちょっとしてから…」
余程嫌そうな顔をしていたのだろう、また斗真に笑われた。そんな斗真をじろりと睨みつけると来い来いと手招きをされ、近づくと斗真の膝に座らされて腹に腕を回されて逃げられなくなった。
「…離せ」
羞恥を悟られないように低く不機嫌な声で抗議する。
「宿題は終わったか?」
ガン無視された。だから俺も黙り込む。
「終わったか?」
「…まだ」
あと何が終わってない?あそこはわかったか?そう言えば生徒会が夏休み中に集まるらしいぞ。それと恭弥が…などと斗真が話題を出して17時頃までダラダラと話し続けていた。
夏休みに入ってから瀬戸を見かけないと言う話はちょっとだけ気になった。確かに連絡は来なくなったように思う。まぁ元から自由なやつだと斗真も言っているし放っておいても問題ないだろうという結論に至った。
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