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責任
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俺が支えてやんねぇと。
俺が愛してやんねぇと。
俺が前を歩かねぇと。
俺が、俺が、俺が
俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が、
俺、が。
愛の全てでないと。
抱きしめた体が一層痩せていた。
ただでさえ細いのに、また痩せていた。俺が、いないと、愛はダメだ。愛は望んでる。俺の全てを自分に向けて欲しいと願ってる。本当は。
………苦しい。愛の、自分を誤魔化す時の癖を知ってしまった日から、苦しくて苦しくて、たまらないんだ。
恋、がんばれ、お前の夢は俺の夢だから。
恋、凄いな、恋の夢、ずっと応援してるよ。
恋、俺を一番にしなくていいよ、ギターのほうが大事だろ?
この言葉を、口にする時の愛の顔。張り付いたような笑顔。完璧につくられた、笑顔。
一枚剥がせばボロがみえそうな、笑顔。思い返してみれば、最近そんなのばっかりだったなぁ。
ごめんな、愛。
俺、夢と恋愛を同じ直線上に置いて順位を決めることができないからさ。お前が一番だよって平気な顔で言えても、本心ではないわけで。
確かに俺の人生に愛は必要だ。大切だから。もう、家族も同然だから。でも、俺の夢の中に愛は、 いない。
子供のころは平気な顔でヒーローになるだとか、サッカー選手になるだとか、そんなことばっか言ってたのに。いつからだろうな、夢を語るのが怖くなったのは。周りも少しずつ現実を知り始めて、俺もそれに感化されて、そしたらまた少しずつ、周りが夢を追う事から辞退していく。将来は公務員になりたい、安定したい、なんてシケたことを言うようになっていく。歳を、重ねれば、重ねるほどに。だけど、夢を現実にしようとするのが努力だ、希望だ、俺は忘れかけていたそれを、庄司くんに…いや、Gactのみんなにもう一度教えてもらった。
だから。
諦めたく、ない。
だけど。
俺は愛をダメにしたくない。
俺が道標にならなくてはいけない。
「泣くなって!俺も頑張るから、もうちょっとだけ頑張れ、愛。一緒に頑張ればなーんも怖くないぜ?」
安い言葉だろ。
曲にしたら笑われるぐらい、ダサいだろ。こんな言葉でも愛は嬉しそうな顔するんだ。俺にほだされ、騙されている。
怖いよ、俺は。
俺がお前の全てになることが、俺の言葉をなんでも鵜呑みにするお前が、こんなにも、こんなにも怖い。だってそうじゃん、考えてみてよ。
誰かの特別になるということは、俺も特別にしなければいけない。そりゃ、愛は俺の特別だ、生まれた時から一緒、幼馴染、親友、家族も同然、そして、…恋人。
キスもした、エッチもした、愛としたことは紛れもなく恋人とするコトだった。
だけど、心は。穏やかなままだった。
重いのは、愛の気持ちじゃなくて、俺の脚にまとわりつく「責任」だ。
なんで、こうなった。
なんで、いつから?これじゃあ、俺たちは、…俺たちはまるで、
愛を吐き違えたみたいだ。
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