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夜の会話
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何となく、お前なら俺のところに来る気はしていたんだ。
入ってくればいい。それが何を意味するのか、俺は知っている。それでも、お前をこの部屋の中へ招くんだ。
…よく、来たな。実をいうなら、俺はお前を心待ちにしていた。そのくらいお前を待ち焦がれていたんだから、遠慮はいらない。
お前は、あの娘(こ)の許へ現れるのではないかとも思った。けれど、俺たちの間の嫉妬、友情、優しさと意地悪さがないまぜになったような感覚は、甘酸っぱい恋愛なんかよりずっと濃いものだろう。だから、お前が落馬したんだという実感を持ってから、俺はずっとお前は俺の許へやってくると思っていたのだ。そうして、待っていた。
幼馴染というのは、少なくとも男同士の幼馴染というのは、そういうものだろう。死ぬことの恐怖はない。闇の世界に引き釣り込まれることよりも、旧友と二度と出会えないことの方が怖い。二度と出会えないままに、お互いの親交が途絶えてしまうなんて。そんなこと、あってはいけないと俺は思う。
ああ、お前は、もうこの世のものではないんだな。触れられて感じる、冷たい肌。生気を持たない体。吐く息も、吸う息もあり得ないなんて。いつの間に遠くへ行ってしまったんだろう、お前は。
でも、ここへちゃんと戻ってきた。嬉しく感じているんだ、本当に。
さあ、思う存分に食らっていい。これまでもこれからも、俺はお前のものだったし、お前も俺のものだったのだから。噛まれれば俺も夜の眷属の仲間入りというわけだろうけれども、それでいい。俺の命もまた、お前と共に失われていいのだから。
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