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普段、皆にあんなに見られることは滅多にないから
一瞬のことだけどすごく疲れた。
けど、教室を出てからも、俺の緊張は解けない。
ちらりと前を見ると、振り返らずに進む野過の背中。
後ろ姿もかっこいい。
前後に揺れる腕も
足も項も全部
全部が好き。
人気のない廊下までくると、
野過は立ち止まり振り返った。
「……なんで、呼んだの」
締め付けられる喉を無理やり開くようにしながら
そう言うと、
「……なんで、って…。なん、えー……と、」
と、野過は少し困ったように頭を搔くと
ふーっ…と息を吐いた。
「浜松、昨日はほんとにごめん。けど、俺、
浜松とほんとに向き合いたいって思ってて……だから
それがいいたくて、……呼んだ」
向き合いたい
さっきも言ってたその言葉
「……向き合いたいって、何……何に?」
野過の気持ちがわからない。
「俺は…、浜松と居る時間好きだよ」
「……」
慎重に、言葉を選ぶようにして喋る野過
「…昨日は…前日もシたし、急だったからビックリして……。でもそれは
浜松が好きじゃないとかじゃないし
俺は浜松を、大切にしたくて…」
急……
急も何も、俺は……
俺はいつでも野過に触れたいって
こんな
言い合いしてる今この瞬間だって
野過に触れていたくて
好きで
好きで好きで堪らないのに
「…だから、仲直りしたくて」
「…」
「登下校も今までどおり、一緒がいいなって思ってるよ」
「…」
登下校
じゃあ、その先は?
手を繋ぐのは
キスをするのは
抱きしめたり、セックスをするのは?
触れたい
触れたい触れたい
そればっかりだ
おればっかり野過を求めてて
万年発情期の猿みたいに
やらしい事ばかり考えて
野過はそうじゃない
それがすごく悲しい
「…………わかった」
そう、言わざる得ない。
喧嘩したまま戻っても、
皆にまた変な目でジロジロ見られるし……
というか、俺が悪かったんだ。
求めすぎた俺が。
「ホントにごめんね」
と、困ったように笑うと
野過はこちらに近づいて
俺の頭にポンと手を乗せた。
「今日も一緒に帰ろう」
優しく笑う野過に俺は何も言えなかった。
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