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「え〜? ダメなの?」
とろんとした目で健は、少し遠くに行ってしまった俊太郎を見る。俊太郎は健を睨んだ。
「試さない。……男とヤッてみたいならお金を払ってプロとヤれよ」
酔っ払いの相手が面倒くさいとでも言うように、俊太郎は投げやりにそう言った。健は酔っている自覚はあるものの、しっかりいつも通りの会話が出来ていると思っている。
「何で俺がお金を払わなきゃいけないんだよ。払われるならともかく」
健はプゥと頬を膨らます。俊太郎は呆れたように、「すごい自信だな」と呟いた。
「だいたい俺で勃つの?」
俊太郎は健ではなくそこら辺の床の見つめながら言った。健は目の前に自分がいるのに見ようとしない俊太郎が許せなくて、立ち上がって近づくと俊太郎の目の前に腰を下ろし、俊太郎の両肩を掴んだ。ターゲットの男性も俊太郎も何故自分を見ないのか。
「な、何?」
俊太郎の健を見る瞳が揺れている。怖がっているのだと分かってまたイラッとする。女の子ならここはドキッとするところだ。
「勃ったらヤッて良いの?」
健がムスッとした表情のままで聞けば、俊太郎は慌てて「いやダメ」と言った。健はむしゃくしゃした気分のまま、俊太郎を殴ってしまおうかと思ったが、すぐにその考えは消えた。魅力的な自分を拒絶した――お高くとまった奴である前に、俊太郎は大事な相棒だと思い出したからだ。
間近でキッと睨め付けるだけにしてやった。しかしそれすれも俊太郎はちゃんと受け止めようとしないで視線を逸らす。さっき男性に相手にされなかった時よりもムカついた。
もう勝手にヤッちゃおうかなという考えが浮かぶ。終わるまでに相手が気持ち良くなっちゃえば問題ない気もする。それに、何だかんだで結局、俊太郎は健のことを赦してくれると思った。
掴んでいた両肩をそのままぐいと押す。驚いて見開かれる目がようやくこっちを見た。フローリングに押し倒せば、俊太郎は少し頭を打ったようで顔を歪めた。そこまで頭が回らなかった健は気にせずに俊太郎の服に手をかける。
「迎えに来たんだけど」
まるで図ったかのようなタイミングで声がして振り向く。そこには呆れた顔をした誠亞が立っていた。首には顔面モザイク機能だけ付いた、誠亞用の紺色チョーカーを着けている。
健は、らしくもない舌打ちをする。その下で、俊太郎はホッと体の力を抜いた。結果的に、俊太郎はもちろん健も助けられたことになるのだが、カクテルをパカパカと調子良く空けた健には考えられない。
この日の任務はこれで終わった。
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