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◇◇◇
いつもの作戦部屋に並んだ四つのパイプ椅子に、健と俊太郎と誠亞、そして問題の――伊藤は並んで座って大きすぎるスクリーンを見上げていた。
「以上がこの世界の時間と未来、そして君の話。ご理解いただけたかな? 僕としてはもっと分かりやすく? 噛み砕いて? 話したいところなんだけど、なにぶん頭の出来が凡人とは違うから分からないってのが分からないんだよね」
気持ち量が減ったように見える寝癖頭を、ぐしゃぐしゃとさらに乱しながら五十嵐は言った。いつものおちゃらけた調子で話す五十嵐を伊藤は睨んだ。
「つまりあなたは俺がこの世界を滅ぼす邪魔な存在だって言いたいわけですか?」
「邪魔って言うと違うな。居ると困るけど、居ないともっと困るんだよね。間違ったパーツだけど、それが無いと〈世界〉っていう機械が動かないみたいな感じかなぁ」
もっと他に言い方は無いのかと、健も五十嵐を睨むが、五十嵐は健の方を見ないようにしているようで、目が合わない。
見かねた俊太郎が口を開く。
「君が悪いわけじゃないんだ。みんな生まれ持った特徴があるだろ? その影響力が個性で片付けるには少し大きすぎるだけなんだ」
伊藤がクラッシャーであることは変えようのない事実――宿命なので、結局言っていることは同じなのだが、五十嵐の数百倍マシな説明だった。しかし伊藤は俊太郎をギッと強く睨んだ。
「お前が誑かしてこんな怪しい組織に健を入れたんだろ!」
伊藤の言葉に健の心臓は跳ね上がった。
「は⁉︎ 何言ってんだよ! 拓未!」
「だって、お前こいつと付き合っているって言っていたじゃんか」
伊藤に完全にばれたショックで頭から吹っ飛んでいた――路地裏での会話を思い出して、健は頭を抱えた。そこは信じていたのかと。
「ケン君、そんな嘘吐いたの〜? シュン君を揶揄ったらダメだよ?」
ニマニマと気色の悪い笑みを浮かべた五十嵐が、会話に割り込んで来る。伊藤は小さく「嘘なのか」と呟いた。
「そんなことよりも! 伊藤君はどうしてシュン君が大学で会った人と同一人物だって気付いたのかな? ケン君が男に抱きつくなんて珍しいから?」
五十嵐はズズイと伊藤に詰め寄った。伊藤は仰け反って五十嵐と距離を取るが、五十嵐は無慈悲にその距離も詰めてしまう。洋画でしか見ないような距離で見つめてくる五十嵐から目を逸らして伊藤は「それが決定打だったけど、それよりも前の肩を掴んだ時に……掴んだ肩が思ったよりもがっしりしていることって前にもあったなって。あと、何か厚みとか感触とかがその時の肩と似ているなって思って」と言った。
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