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俊太郎がため息を吐く。
「目で得た情報はチョーカーによって消えるけど、他の五感で得た情報はしっかりと残るわけか。香水や柔軟剤も気を付けないと不味いな」
健が「何とかならないの?」と聞けば五十嵐は「無茶言わないでよ」と眉間に皺を寄せた。
その会話を見ていた伊藤は、目の前に立つ五十嵐を押し退けると、勢い良く立ち上がった。隠れ筋肉ダルマである五十嵐は思いっきり突き飛ばされたにも関わらず、少しふらついただけだった。
「未来を救うなんてさ。良い年こいて厨二病キメちゃっているけど、お前ら結局ただの犯罪者だろ⁉︎」
叫ぶ伊藤に五十嵐は「ヒーローに犯罪は付き物だからね。ヒーローセットだよ」と言った。誰かこいつを止めてくれ。
伊藤はヘラヘラと笑う五十嵐を睨むと、大きな舌打ちをして作戦部屋を出て行った。残された四人はSFチックなドアが、スモークを撒き散らしながら開閉するのをただ見ていた。
「まあ、普通すんなりと受け入れられないよな。こんな映画みたいな話」
パイプ椅子の背もたれにズズズと沈みながら、俊太郎は言った。
「ケン君はすぐに信じたけどなぁ。二つ返事だったよ。ねえ?」
そう言われると何だか自分が考え無しのアホみたいで嫌だ。健は五十嵐から目を逸らして話も逸らす。
「拓未、警察に駆け込んだり他の人に言いふらしたりしないよね?」
それまで黙って、一歩引いた所から傍観していた誠亞が「それは大丈夫なんじゃないか? 幼馴染の君が居るんだ。売るようなことはしないさ」と言った。
中性的で落ち着いたその声は説得力があり、大丈夫だと思えた。未だに見慣れない美しすぎる顔は、五十嵐邸で暮らすうちに幾分か柔らかく親しみやすくなっていたことに気付く。
「あ! 大変だぁ!」
この上ないほどわざとらしい声でカットインして来た五十嵐に、俊太郎が「最低助演男優賞も夢じゃ無いな」と毒を吐いた。
「なんで助演なのさ! じゃなくて……。伊藤君、自殺しちゃうかも」
「はあ⁉︎」
思わず叫んで立ち上がる。俊太郎も立ち上がっていた。
「今、頭の中でパパッと計算したらビビッとキタね。彼、思い悩んで明日自殺しちゃうや」
それにしてはやけに軽い口調だが、五十嵐はサイコパス診断に引っかかりそうな奴なので本当なのかもしれない。
「お前、本当に計算出来ているんだろうな? 正直、そんなに頭が良いようには見えない」
俊太郎がそう噛み付くと、五十嵐は「ええ⁉︎ 今更疑っちゃう?」と言った。
「五十嵐の計算は正解だよ。僕が保証する。二人は伊藤君が早まらないように明日、見張った方が良い」
誠亞がそう言い、健と俊太郎は伊藤が自殺をしないように動くこととなった。
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