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健は何のことか分からず、困惑した表情を浮かべるしかなかった。もしかして自分は察しが悪いのだろうかと考えながら。
そんな健に誠亞は「僕は五十嵐が動けなくなった時の為のスペアだったってこと」と言う。そこまで言われて、健はようやくピンと来た。
「それで五十嵐は誠亞を家に住まわせたのか⁉︎ 自分に利益の無いことをするなんてよく考えたらおかしいもんな」
なんだ、そうだったのかと、スッキリとした顔で呟く健の横で、俊太郎は難しい顔をした。
「……その時にはもう五十嵐が死ぬ未来になっていたのか?」
その問いに答えたのは、真面目モードの低い声の五十嵐だった。
「いや、その時にはまだ……。もしもの時と思っての行動だったんだが、そのもしもが想定よりも早く訪れた」
スゥと細められた目は見慣れないのに、やけにしっくりとくる。きっとこれが五十嵐の素なのだろう。
そんな五十嵐を何となく眺めていた健は、ふっとあることに気付く。
「なんで俺と俊太郎にはマイフレンドのことを隠したの? てか、五十嵐のポジションだって、俺か俊太郎がやれば良いっていう話だったんじゃないの?」
「それに関しては……僕にも分からないよ。マイフレンドが隠せって言うからさ。そうしただけだし……。誠亞が適任だってマイフレンドが言うからそうなんだよ‼︎」
いつもの調子に戻った五十嵐が、何杯目か分からない酒のおかわりを自分で注ぎらながらそう叫ぶ。
「……完全な操り人形じゃん」
健はため息を吐いた。――隣で俊太郎が「やっぱりこいつはただの馬鹿だ」と呟くのを聞きながら。
五十嵐は気付けば真っ赤になった顔で、グラスを傾けてから「その操り人形に操られていたのは、だぁれだ?」と言った。そこまでは耐えられたが、その後のぷうと頬を膨らます仕草がどうしても許容出来なくて、健の腕の筋肉がピクリと動く。
乱闘騒ぎ寸前のタイミングになってようやく傍観していたマイフレンドが『健。五十嵐の発言は代わりに私が謝るから、どうか落ち着いてほしい。すまないね』と声を出した。
無意識に距離を詰めて掴んでいた五十嵐の襟を放して、健は元の場所――実は意図的にゲットしていた俊太郎の隣に戻った。
『こうして立ち止まって考えてみると、いろんな疑問が湧くだろう? 私にはそれに答える義務がある。だから時間は有限だが、私のネタバラシに付き合ってほしい』
健はグラス一杯の水を一気に飲んで、マイフレンドの方――マイフレンドの声が出るモニターの方を向いた。何だか小難しい話が始まる予感がしたのだ。
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