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side ケイ エリカの叫び 1
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なんだかんだ仕事をしているとあっという間に一時前になっていた。
(やっば、、もうこんな時間だ。準備をしないと、、)
早速パソコンやその他色々なものをセットし金糸さんの所へ向かうことにした。
金糸さんは少し遠い個室にいらっしゃるので軽く駆け足で病室へと急ぐ。
未受診妊婦は感染症などの危険性からどうしても他の患者から離れたところに入院をしてもらわないといけない。
(どんな人だろうか、、年齢からしても初産だろうし、かなり不安だろうな、、できるだけサポートをしてあげよう。)
そんなこんなで金糸さんの病室へとたどり着いた。
ここは少し奥に入ったところにあり光が届きにくい。
そのせいで他に比べると若干寒く、暗く感じる。
一旦病室へと前で深呼吸をして落ち着けてからノックをする。
「金糸さん、いらっしゃいますか?」
(、、返事がない。)
「金糸さん、医師の柚木というものです。
中にお入りしても宜しいですか?」
しかし応答はなく何かあったのかと思い、俺は中に入ることに決めた。
その前にもう一度だけ声をかける。
「金糸さん失礼しますね。今日から出産まで金糸さんの担当医になった柚木です。」
応答はないが部屋のドアをゆっくりと開けて中へとはいる。
部屋へはいると中央のベッドが膨らんでいるのが見えた。
心做しかこの部屋は少し寒く感じる。
(よかった、、中にはいたのか。寝ているんだろうな)
「おやすみのところ申し訳ありません。
少しいいでしょうか?」
すると膨らみからボソボソと声が聞こえる。
「、、、って、、」
「?金糸さん、どうかされましたか?」
するといきなりバッと毛布が宙を舞う。
目に入ったのは輝く金色だった。
「帰って!!!入ってくんなよ!!!」
そうして彼女は隠し持っていたのであろう液体を投げかけてくる。
「っと、金糸さん!?落ち着いて、、、」
「帰れっつてんだろ!??来んなよ!!」
髪を振り乱して半ば狂気さえも感じる雰囲気に少し慄いてしまう。
(これは、、、一旦退却する方がいいか、、)
「わかりました、金糸さんが落ち着いたら内線でご連絡くださ、、「うるさい!!早く出ていけ!!」、、。」
これはまずいとサッと退散する。
そうして部屋の外へ出てしゃがみこみ、いけないことだとは分かっているがため息をついてしまう。
「、、はぁ、、どうしたものか、」
(これは一筋縄じゃ行かなそうだな、、、)
手で顔を覆い、一度頭を冷やす。
あの乱れよう、あれはただ事ではない。
もう少し詳しく調べてから行くべきだった。
(一旦戻って金糸さんについて調べなければ、、)
先程かけられたのはコーヒーであろうか、白衣が茶色のシミになってしまった。
ロッカーに替えの白衣があったかと思い出したながら来た道を引き返す。
「ただ今戻りました、、、」
「おう、おかえり、、、ってなんだ!?柚木何かあったんか!!?」
医局に帰るなり先輩に仰天される。
「すみません、、ちょっと色々ありまして、、」
「とりあえず着替えてこい!!替えの白衣がなかったら俺のやつ使えばいいから。」
ほらほら、と先輩が更衣室へ押し込む。
(ほっ、、よかった。白衣あった。)
急いで着替え、顔をザッと洗い更衣室を出る。
「お前復帰初日から災難だな、、何があったんだ?」
先輩がお茶を出しながら尋ねてくる。
確かに復帰初日にしては色々ありすぎた。
「実は、、先日搬送された未受診妊婦の所に診察へ行ったら、コーヒーをぶっかけられまして、、」
すると先輩は少し苦い顔をしてあぁ、と呟く。
「あの野良ちゃんか、、、なんかわけありっぽいよなぁ、、」
「はい。未受診なので何も情報がなくて、、
今から調べようと思っていたんです。」
「なら俺も手伝うよ。俺今日はもうなんも予定ないから。」
先輩からありがたい提案をしてもらえる。
「ありがとうございます。じゃあお願いしてもよろしいですか?」
「おう!んじゃ調べますか、、
俺資料庫行ってっから。柚木はデジタルの方頼むな。」
「分かりました。お願いします。」
そうして俺と先輩は分担して金糸さんについて調べるとこにした。
そのまま一時間と少しほどたったのだか、、、
「なーんにも見つかんねーな、、」
「そうですね、、ここまで情報がないとは、」
弱ったなぁ、と先輩が項垂れる。
確かにこのままでは何も対処が出来ない。
「とりあえずわかったのは金糸 スズメさん、18歳の28週目。先日救急搬送された。
救急のヤツらの診断によれば切迫流産の可能性があったが現在は小康状態にある、くらいかぁ、、」
「診断に不備はなさそうですね、、
検査の結果は心臓に少し疾患がありそうとの事でこの後心外の先生が向かうそうです。」
(ほんとに情報が無さすぎる。)
これがあるから未受診妊婦は嫌煙されてしまうのだ。
もちろんそれぞれの家庭状況を考慮すれば一概に悪だとは言ってはいけない。
だが、俺達医者にとっては未受診はほんうとに怖い。
何か疾患があった時に早急に対処が出来ないことが多々出てきてしまう。
「んーー、、どうしよっかな、、」
「そうですね、、」
二人で唸ってうると後ろから呼びかけられる。
「どうした、二人して。何かあったのか。」
すると後ろには回診を終えたであろう部長が立っていた。
相変わらずキリッとした立ち姿だ。
「あっ、宮月部長!実は、、」
部長にさっき起きたこと、そして金糸さんについて話す。
それを聞いた部長は何やら考え込んでいるようだ。
「そうか、、、それなら一度救急へ行って搬送された時の状況を聞いてきたらどうだ。
確かあの時は日奈瀬と社が金糸さんの担当をしたと聞いているぞ。」
その手があったか、確かに搬送された時のことを聞けば何かわかるかもしれない。
「では、今から行ってきてもよろしいですか?この後の予定は特に入っていないので行ける時に行きたいのですが、、」
「あぁ、行ってきなさい。きちんと話を聞いてくるんだ。」
部長はそういうとまた何処かへ出かけて行った。
先輩にお礼を言って俺は急いで救急へと足を運ぶことにする。
「部長さすがだねぇ。んじゃ柚木行ってらっしゃーい」
ばいばーい、と手を振りながら俺を見送ると先輩は局に戻って行く。
(日奈瀬さんと社さんか、、、救命にいるといいな、、)
そう思いながら急いでで廊下を駆け抜けていった。
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