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「さぁて、、、何にするかな、、」
鮮魚コーナーの目の前でうんうんと唸る。
どれも新鮮で美味しそうなので目移りしてしまう。
(煮物もいいけど今日は肉じゃがだしな、、、やっぱり焼くか、、でもなぁ、、)
カート片手に難しい顔をしていると、
「ケーーーイ!!おつかいできたぞ!!あとなんかいりそうなのもついでに入れてきた!」
先輩がグットタイミングで戻ってきた。
なので、俺は先輩に判断を委ねることにする。
「先輩、魚なんですけど何がいいですか?多分なんでもいけると思いますよ」
「んーー、、、そうだなぁ、、じゃあホッケはどうだ!!そういえば今年あんまし食べてないんだよ!!」
そういうとそばにあったホッケを持ち上げる。
よし、それで決定だ。
「わかりました。カゴに入れてもらっていいですか?
俺の方も終わったので会計に行きましょうか。」
そして会計へと向かう。先輩との約束として二人で食品などの買い物をした時は基本的に折半にすることになっている。
今は先輩がカードでまとめて払ってしまうので後で現金で渡すことにしよう。
「結構買ったなーー!!やっぱりガラガラ持ってきてよかったな!!」
なぜ先輩がガラガラを持ってきているのか不思議だったのだがこのためだったのか、、その上に荷物を置いて引きながらマンションへと帰る。
辺りはだいぶ暗くなっており秋の訪れを感じさせてくれる
「そうですね、、、でもちょっと買いすぎたかもしれないですね、、」
さすがに二人暮しにしては多すぎる量な気もする。
しかし俺も先輩もかなり大食いな方なので心配はいらないだろう。
「まぁ、食い切れなかったら冷凍したりすればいいだろ!!なかなか毎日作れるとも限らないしな!!」
すると早く帰って準備しようぜ!、と駆け足で道を抜けていく。ガラガラと大きな音を立て荷物が揺れるのを横目に俺もその隣でスピードをあげて帰り道を急いだ。
「たっだいまー!!さぁ、作ろ作ろ!!」
そうして部屋に戻り玄関に入るとすぐにキッチンへと足を運ぶ。先輩は俺に黒のエプロン、自分は暗い緑のエプロンを身につけて、使う食材を台に置いていく。
「じゃあ、俺は肉じゃがと揚げ出し豆腐やるんで先輩は米をお願いします。」
急いで手を洗ってきて渡されたエプロンを身につける。
先輩はわかった!と返事をして自分も手を洗いに洗面所へと向かった。
(そんじゃ、、まずは肉じゃがからかな、、)
じゃがいもや人参などの野菜類を軽く洗っていき、人参には皮ギリギリに栄養分があるのでむかずに、じゃがいもは皮を綺麗にむいていく。なお、なぜかピーラーあったのでそれを使ってどんどんと無心にやる。
そうしていると手を洗ってきた先輩が戻り、隣で米をとぎ始める。今日は六合炊いてあまりは冷凍するらしい。
「三分の一くらいあまっかな!!ケイも結構食うもんな!!」
そう言って慣れた手つきで米を洗う。豪快に見えるがなかなかしっかりと丁寧にといでいる。
「米が終わったら魚の準備もお願いしていいですか?
って言っても軽く表面に油を塗ってコンロに入れてもらうだけですけど、、」
「おっけ!!これ終わったらすぐやるな!」
俺はそれを告げると材料を少し大ぶりに切っていく。こういうのは大体ちょっとデカ目にした方がうまいんだ。
切り終わると圧力鍋に食品を入れ込んで調味料も目分量でサッと入れる。
本当はじっくりと作りたいところだか時間も足りないので圧力鍋を使って時短をする。
(肉じゃがはこれでいいか、、あとは揚げ出し豆腐だな)
バットに片栗粉を用意しておき、豆腐の水切りをしてこっちも大きめに切りそろえる。
そして片栗粉粉をまぶして用意をしておいた油の中へゆっくりと入れる。
三つあるコンロのうち二つは現在進行形で使っているので最後のコンロで豆腐のタレを作る。
「ケイー、こんな感じていい??」
横で先輩が魚の準備を終え、俺に確認をとる。
少々塗りすぎな感じもするがまあ、許容範囲内であろう
「大丈夫です。じゃあセットして貰ってもいいですか?」
わかったー、といって網焼きグリルに魚をセットしてタイマーを十三分に合わせる。
そこまでやって先輩の仕事はなくなったので一足先にリビングへと戻った。
(豆腐もこれくらいでいいか、、あとは米が炊けるのを待つだけか、、)
鍋の中から豆腐を引き上げて油を切っていく。
そうしないとせっかくの豆腐がしなけてしまう。
ちょうど全ての豆腐を引き上げると圧力鍋から音がなり食欲をそそられる温かい香りがしてきた。
(うん、、肉じゃがもいい感じだな。)
すると匂いに誘われて先輩が再びキッチンへとやってくる。そしてつまみ食いをしようとする先輩の手をはたきおとす。
「だめです。あと十五分でご飯がたけるんですから。
あんたが早炊モードにしてくれたおかげで予定よりもずっと早くできるんですから、もう少し待ってください。」
先輩は少し下唇を突き出してモゴモゴさせるとはーい、といってまたリビングへと帰りテレビをつけてた。
そして炊飯器から軽快なリズムがなり、蓋を開けると米の甘い香りが溢れ出る。
先輩が茶碗を出して米をついでくれるので俺は出来上がったおかずをさらへと移していく。
それをダイニングへと運び席に着く。
「じゃ、いただきます!!」
「いただきます。」
手を合わせていただきますと言うのを皮切りに俺は揚げ出し豆腐、先輩は肉じゃがへと手を伸ばす。
揚げ出し豆腐はサクサクとかなり上手くできている。
久々の料理で少し不安もあったが何とかなったようだ。
「んーー!!この肉じゃがうまいな!!」
そう言いながらぱくぱく、次から次へと肉じゃがを口に運んでいく。先輩は本当に嬉しそうでこっちの心も自然とあたたかくなる。
「良かったです。沢山あるのでまだまだ食ってくださいね。」
「ありがとなぁ、ケイ!!ほんとひさしぶりにこんなにあったかいご飯が食えた!!」
俺が眠っている間、とてつもなく忙しかったらしくまともに手料理を食べていなかったと入院中に愚痴っていたことを思い出す。
こんなに喜んでもらえてよかった。
「ほうは、へいははひはひはんはっへ??」
「何言ってんのかわかんないですよ、、、口のもの飲み込んでからにしてください。」
先輩は癖なのか食べる時に口の前を手で隠すようにして食べていることが多い。それもあいまって何を言っているのか全く理解ができない。
「、、ん!ケイは明日非番だっけ??オレは明後日から非番なんだけどさ!!」
「はい、明日明後日と非番でそのあとはしばらく日勤が続きそうです。先輩はこの後は夜勤になりますか?」
「おう!来週から夜勤だぞ!!そうそう、明日暇だったら明日の晩飯も頼んでいいか??あったかいご飯が待ってれば仕事も早く終わる気がする!!」
余程手料理が美味しかったのだろう。
先輩が頼むっ、と顔の前で手を合わせて頼み込んでくる。なんだそんなことなら全然問題ない。
「いいですよ。何がいいとかありますか、って飯食ってる場所で聞くことじゃないですね、、なんかリクエストあったらください。」
「わかった!!でも明日は洋食がいいな!!」
そう言って先輩は食事へと戻った。
俺は先輩の大まかなリクエストを聞いて明日の晩の用意をざっくりと考える。洋食だったらハンバーグとかオムライスとか子供の好きそうなものはどうだろうか、と思うが今はどれも魅力的には感じない。
(まぁ、、明日はとりあえずもうちょい惣菜を作っておくか、、煮物とかだったら冷凍できるしな)
そんなことを思っているといつの間にか食べ終わっており俺は食器を流しへ下げに行く。食器は先輩が洗ってくれるそうなのでありがたく甘えておこう。
やることも無くなったのでテレビを見させて貰うことにした。と言ってもこれといった番組もなく何となくやっていた特番の医療現場の密着ものを見ることにした。
今日の特集はドクターヘリらしい。
(ドクヘリか、、たしかうちにもあったよな、、)
「あっ!!それ今日やるのか!!つけといて!!」
音で察したのか流しから先輩が大声を出す。その直後流しが慌ただしくなる。恐らく急いで洗っているのだろう。どうか割らないようにだけ気をつけていただきたい。
そうして急いで洗い終わったらしい先輩が手を拭きながらリビングへとやってくる。
そしてソファーの下へと腰を下ろす。先輩の定位置らしくクッションが何個か置いてあった。
「オレさ来週、コノハとフライト担当なんだよ!フライトはまだ初めてだから流石にちょっと知っておきたくってな!!」
「そうなんですか、まだ先輩は救命の専門医ってわけではないんですか?」
すると先輩はテレビに集中しているのか心ここに在らずといった様子でおぉ、と返事をする。
「おう、資格自体はあとちょっとで取れるんだ、、、ケイは覚えてないけどオレ結構前から救命で研修入れてたから」
そうだったのか。やっぱり記憶が無くなっているのはもどかしい。この人が頑張っていたところを見ていたはずなのに何も覚えてない。この人はまぁ、その、こんなんだが実際はかなり容量もよく頭もいい。なんでもそつなくこなしてしまう。それでも努力を惜しまないから尊敬できるのだ。
「俺も、、、早く救命に入りたいです。多くの人を救える医者になりたい。それに少しでも、、、」
(少しでもあの人に、、って、、)
今俺は何を考えてた、、?これじゃあまるで俺が日奈瀬さんに、、
(近づきたいって思ってるみたいだ、、)
食後にと出されたコーヒーの氷がカラン、と軽い音を鳴らして落ちていく。ほんの少し顔が熱くなっていく気がしてその氷を急いで口に含んだ。
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