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2再廻の呪い
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「虎杖君が…」
その場で座り込む憂太
「乙骨先輩!」
「そんな…」
記憶の中の悠仁が蘇る
屈託の無い笑顔
夏油が死んで
兄の胸の中で泣いていた
別れの時には笑顔だった
「虎杖君…」
皆の声が遠くに聞こえる
「君まで里香ちゃんみたいに居なくなるの?」
涙が止まらなかった
「あんた達が起こした失態だよ?」
いつもの敬語を使えない程に五条は激怒していた
「我々が命を下した訳ではない」
「アレさえいれば受胎九相図の受肉体はコントロール出来たのに」
「あーあ!これで特級呪霊は2体に増えましたね」
「何だと?」
「肉体を失った宿儺は霊となって顕現する危険性が増えました。もしくは虎杖悠仁自身が宿儺を取り込むかもしれません」
「貴様!我々を脅す気か!」
「いいえ。可能性です。最高級の呪いは夏油傑でなく我々でしたね」
騒ぐ上層部を後目に出ていく
「何にも分かっちゃいない!」
どんな原因であろうと裏切ってしまった
「ごめん…悠仁…」
悔しげに呻く五条に
「五条さん!脹相が虎杖悠仁の監視をしていた術師1名を殺害!未だ逃走中です!」
「始まったか…」
敵に回してはいけない人物が動き出した
「ところでお前何者だ」
廃墟に連れてこられ
簡単な食事を与えられる
「お前が悠仁の命の恩人で俺達を助けてくれた事には感謝しているが、何が目的だ?」
未だ警戒を解かず
脹相は不信の眼差しを向ける
「だよね。俺の名は真人。呪霊だ」
「真人、色々ありがと」
「いいえ。仲間なんだから当たり前だよ」
ニコニコと笑う真人に真意は見えず
「暫く世話になる」
脹相が頭を下げた
「真人。さっき言ってたことだけど」
スープを口にしようとした悠仁が顔を上げる
「まずは飯だよ。人間は食わないと動けなくなるだろ?」
「うん…」
「俺達は人間になるんだ」
「人間に?」
「呪霊こそが真の人間の姿だ。今は人間が支配しているけどそのうち俺達が成り代わる。その時に君が導いていく」
悠仁を指す
「特級呪物両面宿儺。その指を呑み込んだ君も呪いそのものだ。実際に自らが呪いだと宣言した」
「してねーけど…」
「利害は一致しているし、君は死んで呪いになった」
「あーあれねえ…」
「君、死んでくれる?」
「…え?」
助けてもらったと思えばまた死ねと言われ
「服を交換するんだ。背格好が似てるし、君が死んだと僅かな時間でも思い込ませられる」
「ああ」
死体から服を剥ぎ取るも
「下着もだよ」
「うえええー!下着もかよ…」
真人が見守るなか下着も脱ぐ
「うええええ…気持ち悪い…ベタベタするぅ」
血糊の付いた服に不満を口にする
「これで君は死んだことになる。少しの間は誤魔化せる」
「大丈夫かな?」
「犯人は悠仁と思い込んでる死体をとっとと火葬にしたよ。余程隠したかったんだろうね」
ぎりっ
食いしばる悠仁に怒りを感じ
真人は笑みを浮かべる
「ところで君達に紹介したい人達がいるんだ」
「五条先生…虎杖君が亡くなったそうです」
「ああ、聞いた。山菜採りの最中の事故だ」
「嘘ですよね?」
憂太の呪力がジワリと上がる
「もしも事故なら監視が助けるでしょう?」
「憂太に嘘を付いても仕方がないね。殺したのは監視員。死体は早々に火葬された。遺骨も何処かに捨てられて」
「虎杖君はそんな目に遭わなければいけない程に危険な人間性でしたか?」
震える肩に怒りを感じる
「憂太」
「彼は何もしていないのに!」
ベコンッ
憂太の回りの床と壁がへこむ
「憂太落ち着け。今回の件は僕も腸が煮えたぎっているが、今はそれどころじゃない」
冷静な五条に憂太が怒りの眼差しを向ける
「今は脹相の行方を探さないと。もう何人も死んでいる」
「そんなに俺の弟が憎かったのか!」
真人からの説明を受けた脹相が再度激怒する
「落ち着けよ。結局あいつらがそういう人間だってこと。五条さ…五条を見れば分かる」
親友を躊躇いもなく殺し
自分を騙していた
「脹相が弟の状態を把握していることを知らなかったんだろうな」
「そうだね。さてと、皆集まったよ」
悠仁と脹相を囲むように現れた呪霊達
「ああ警戒しなくて良いよ。皆君達の味方だ」
「頭富士山!ごっつい植物!後何かキモ可愛いの!」
「キモ可愛い?」
「やかましい小僧だな。殺すぞ」
「ぶぅー」
『意味は分かりませんが、とても不愉快です』
「何か植物の人の言ってること分からないけど頭の中で声がしてる!」
「いやあー早速仲良くなれたね!」
楽しそうな真人に
「どこ見ていってんのー?てかこう言うやり取り前もあったな…」
悠仁は突っ込む
「真人、我々に必要なのは宿儺だけだ。器の小僧に用はない」
「ぶぅうー!」
『私も特にこの子触れあう気はありません』
「それはこっちの台詞だ。利害関係があるから協力してやるだけだ。馴れ合う必要が見いだせない」
脹相も喧嘩腰で
血気盛んな呪霊と睨み合う
「やめろって脹相!真人も止めて!」
ひたすら笑う真人に助けを求めていると
「相変わらず君の周りは賑やかだね」
懐かしい声が響いた
「夏油…せん…せぇ」
「久しぶり悠仁。元気だったかい?」
「いつまでメソメソしてんだ憂太!」
宮城での仕事は危なげならもこなしたが
宿泊先のホテルではベッドに突っ伏して泣いた
その様子にイラついた真希が叱りつける
「真希先輩。ここ男部屋なんすけど」
寛いでいた伏黒が苦情を口にするも憂太は答えず
「そんなに仲良かったんすか?その虎杖って奴と」
伏黒が尋ねる
「こいつがな。虎杖は人懐っこい奴で、変な兄貴が居る」
「へえ」
「凄く優しくて思いやりがあって…そのせいで夏油に利用されてた」
「ダメな奴じゃないすか!」
「夏油が死んでも夏油の事を思ってた」
優しすぎる彼は
「僕の事もいつも心配してくれていた」
夏油の敵である憂太も心配していて
『憂太さん元気?』
『五条さんにセクハラされてない?』
『鍋パしない?』
『今度いつ来る?』
『伏黒って誰?』
『そいつも来る?』
『わかった』
『山菜採ってくる』
「適当な文ばっか。てか五条先生男にセクハラするんすか?」
「みたい。スキンシップも過剰だし」
最後のメッセージは自撮りで
『山菜楽しみにしてね』
「こんなに優しい人が呪霊になんてなる筈無いのに」
虎杖悠仁は生前より警戒され
死後も仮想呪霊として警戒されていた
「そりゃあ恨まれても仕方ないっすね」
「夏油…?」
現れた男に脹相も驚きを隠せず
「ふふっ、君のそんな顔珍しいね」
いつもの笑顔を見せる夏油に
「先生相変わらず前髪変!」
悠仁が突如言い放つ
「へ?」
「ん?」
「しかも胡散臭いかっこ…あだだだだだ!」
悠仁の首に腕を回し頭頂に拳を当て捻る
「お前悠仁に何をする!」
「うーん…確かに髪型おかしいよね」
「君のようなボサボサ頭に言われたくない。と言うか君はわざわざ怒られると分かってやってるのかい?」
前髪を撫でる
「へへ、先生にまた会えたからつい」
「つい?」
ギリギリギリ
「あだだだだだ!」
頭を締め付ける
「口は災いの元だね」
宛がわれた部屋にはベッドがあり
悠仁が座ると脹相も座る
「ちょっ!何であんたも座るん?」
「夜に一人は寂しいかと思って」
「寂しい訳あるか!」
怒る悠仁の肩に腕を回す
「俺は寂しかった」
「脹相?」
「お前と一緒に過ごし、お前が笑ったり怒ったり、泣いたりしているのを見た」
「うん」
「高専預かりの間、他の弟達とお前の話ばかりしていた」
「兄バカか!」
「ああ。兄バカだ。お前達の為なら何でも出来る」
「ははっ!」
「お前が生きてくれて本当に良かった」
悠仁の肩に頭を乗せる
「そんな事言ってくれるのって脹相と学校の奴らだけだな」
葬儀もなくニュースのインタビューで部活の先輩達や同級生が泣いていた
「俺もう戻る場所ねーな」
寂しそうに笑う
「悠仁…」
悠仁の頭を抱く
「お兄ちゃんが側に居るからな」
「…ぅん…」
泣きそうになるのを堪える
「私も側にいてあげるよ」
「…っ!」
「げ…とう先生」
「うん?どうしたんだい?」
扉の近くにたっていた夏油に脹相が悠仁を庇い
悠仁も警戒する
「お前…誰だ?」
「誰って言われても…」
「見た目は夏油だがお前は夏油じゃない」
にや
夏油は歯を見せ笑う
「先生に会えたのは嬉しいけどあんた先生の振りしてるだけなんだよね。真人の手前黙ってたけど」
「それはありがとう」
「質問に答えろ!お前は何者だ!俺の弟に害をなすなら容赦はしない!」
拳を構える脹相に
「私は夏油君の体を借りているだけだ。そして君達に悪意も持っていない。むしろ味方だ」
「ふざけるのもいい加減にしろ!」
脹相が怒鳴る
「待った待った!脹相、あんた好戦的すぎるって!えっと…夏油…先生で良い?あんたは何がしたい?俺達に何をさせたい?」
警戒したままの悠仁が尋ねる
「私は夏油君の遺志を受け継いでいる。やることは変わらない邪魔するのであれば呪術師を殺すことも厭わない」
「…っ!五条…悟も?」
「ああ…君の願いも叶う」
「悠仁…」
脹相の後ろから顔を出す
「分かった。俺の願いは先生の仇を取る。あんたがそうしてくれるなら協力する」
「君は」
「ありがとう。それでは改めて契約だ」
ぞくん
なくなった筈の下腹部の疼き
「呪霊は使わない。体が覚えているから必要ない」
この声に
匂いに
体が反応する
「良い子だ」
薄く開いた悠仁の唇をなめる
「口を開けて」
ぬるりとした舌が侵入する
「んん…」
熱い舌が口内を蹂躙する
「ふ…」
横目で脹相を見れば
脹相は顔を赤くし視線を反らす
「ん…」
「君には後でしてあげよう」
良い子で待っていなさいと笑う
「さあ、再び始めよう」
再び呪いの世界を
続く
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