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32再妬の呪い
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「定時を過ぎているのに申し訳ありません」
定時までに仕事を終わらせたのに
「伊地知君のせいではありません。それにしても…」
まさか彼が自分を指名するとは思ってもみなかった
「子供を守るのは大人の役目です」
大方あの男が悪さをしたのだろう
「ナナミン!ごめん!ごめん!」
自分にすがり付き静かに泣くこの子に
「君のせいではありません」
私は抱きしめるしかなかった
「七海」
そのせいで珍しく嫉妬に染まったあの人の顔を見る事が出来た
「ナナミン、定時過ぎてんだろ?」
呪詛師らしからぬこの子らしい優しさ
「君は子供なのに気を使いすぎです。それより大変でしたね」
自分の腕にしがみつく子供は微かに震えていて
「ねー!何で七海はそんなに懐かれてる訳~?そんなにテクが良いの?」
「セクハラで訴えますよ?」
悠仁を背中で庇い七海は五条を手で追い払う
「冥冥さん、虎杖君はこちらで保護しておきますので安心して下さい」
「そうだな。七海君なら安心だ」
冥冥も頷き
「では僕達は帰りましょう」
憂憂が冥冥を促す
「そうだな。じゃあ虎杖君、また会おう」
「あ、はい…?え?いや…」
「ふふ」
挨拶を躊躇する悠仁に冥冥は笑い去っていった
「さて、虎杖君。申し訳ないが、拘束はさせて貰います。君は危険人物として指名手配を受けています」
呪力を封じる手錠をかける
「仕方ないよ。俺はナナミン以外の高専の人間を許せないから」
へらりと笑う悠仁に
「謝罪するのは私達の方かもしれません」
悠仁を睨む黒スーツの仲間達から
こちらを睨み続ける五条から
「おかえり脹相。無事で何より」
「イヤミか」
戻ってきた脹相に夏油が抱きしめる
「君も大事なんだ。貴重な戦力だしね」
髪を弄ろうとする指を払いのける
「悠仁が敵の手に落ちたままだ。これは俺の落ち度だ」
俯く脹相に
「君が戻ってきてくれただけでも良かった。悠仁には重要な話はしていないからね。心配する必要はない」
頭を撫でようとしたがそれもかわされる
「弟達を全員取り戻すためにもお前達利用させて貰う」
自室に戻る脹相に
「勿論!悠仁はすぐに回収させる」
夏油はいつもの笑顔を見せ
「君は悟に何をされた?」
すぐに険しい表情になった
「君は暫くここで過ごして貰う」
呪符で囲まれた部屋に案内される
「構いません。俺はあんた達を許せないし、呪いになるって決めた。敵なんだから気を遣わないでよ」
無理に笑顔を見せる悠仁
「五条にちょっかい出されなければ…」
「悟には別の場所を教えている」
「そうですか」
ホッとした悠仁に
「本当にすまない」
夜蛾が頭を下げる
「私の監督不行き届きで君を追い詰めてしまった」
「別に。あんた達を信じた俺達も悪かったから」
そっぽを向く悠仁に
「脹相もいずれ保護する。呪術界を説得して今度こそ」
「うん」
部屋を出る夜蛾に
「嘘つき」
冷たい悠仁の言葉が響いた
「俺達をまとめて殺したいんだよな」
「嘘は良くありません。学長」
出口で見張っていた七海が声をかける
「虎杖悠仁と脹相の秘匿死刑は高専でも決定事項でしたよね?」
「表向きはな。未来ある若者の命を奪う気はない」
かつて自分の生徒にある少女の護衛と抹消の指示を出したように
「もう2度と傑の様な術師は生ませない」
「あれ?あんた1人?悠仁は?」
自室のドアを開ける脹相に話しかけるも
「…失礼、悠仁の知り合いか何かですか?」
「俺だよ!重面!」
「重…面…さん?」
首を傾げる脹相は本当に存在を忘れているようで
「悪いが悠仁は今はここに居ない。また日を改めて…お前ポニーテールだったのか」
髪型をみた瞬間に思い出す
「あんた本当に忘れてたのかよ!」
「どうでも良い事だから」
それだけ言いドアを閉めるも
「あんたに用事があるんだ」
重面が入り込んでくる
「俺はお前に用はない」
不愉快そうに眉をしかめる
「いやね。あんたがセックスしてる時の顔も色っぽくてさ。是非お相手願おうかと」
「俺はお前に興味はない。ヤりたい6なら真人や夏油に頼め。あいつらは猿だから喜んで相手をしてくれる」
無表情で椅子に座る
「あんたが良いんだ。それに定期的に精液を補給しないと…ぐっ!」
饒舌に喋っていた重面だが突然口を押さえる
「げええっ」
嘔吐する重面に
「俺の血は毒だ。それでもヤりたいのか?」
「ずび…ばぜ…」
口元を拭い出ていこうとするも
「掃除をしてから出ていけ」
脹相は無表情で見下ろし
「…何だ?」
自分の体の違和感に気付いた
「何だ?これ…」
自分の体の違和感
不調ではない誰かの術の痕跡
「ケヒッ!気付いたか?小僧」
頬に現れる目と口
「お前の仕業か?宿儺」
低い声で唸る
「いや、あの六眼の仕業だ」
「五条の仕業か…何やってくれてんだよあの変態!」
「それだけはあの男に感謝しろ。お前と受胎九相図にかけられた呪いを解いたんだ」
「?」
「脹相」
夏油が訪ねてベッドに腰かけた脹相の隣に座る
「悠仁が居なくて寂しい?」
髪に触れるも脹相はまた振り払う
「悠仁はすぐに助ける」
「まあね。それより…」
キスを迫るも
「触るな。不愉快だ」
顔を押し退ける
「なるほどね」
夏油が歯を剥き出しにし笑う
ドクンッ
「お前…」
この笑い方
この笑い方には覚えがある
「お前…」
誰だ?
この笑い方をする人間を俺は知っている
「お前…何を知っている?」
「うん?まあね」
いつもの笑顔に戻る
「悟の仕業だね」
服越しに腹部を撫でる
「夏油君が仕込んだ呪いが消えてしまった」
ぎゅっ
脹相の服を握り締める
「やってくれるね…」
「夏油先生が呪い…」
「余程お前達に執着があったのだな。死んでも効いていた」
服を握りしめる
「先生…」
じわりと涙が滲む
「全部失くなった…」
先生と繋ぐ物は先生の振りをしたあいつ
「…ぅ…」
またあいつが奪った
「あいつ…五条…」
涙が床に滴る
「何で…何で俺から先生を奪うんだよっ!」
「それがお前の為にならないから」
「ごっ!」
悠仁の頬の目と口が消える
「宿儺は消えたか」
「五条!あんたにはここは知らせてないってあの人達が!」
後ずさると五条は近付く
「あんな嘘を僕が信じる訳無いだろ。それより傑の呪いは完全に消えたね」
悠仁に触れようとするも
悠仁は狭い室内を逃げる
「逃げなくても良いよ。君に酷い事は…」
「やったじゃねーか!さんっ!ざんに!」
逃げているうちに壁際に追い込まれる
「あれは君の中の傑を追い出す為だ。現に今お兄さんは精液の補給を必要としなくなった」
悠仁の髪に触れるとビクリと震える
「ひ…」
顔を腕で庇い
震える悠仁に手を引く
「僕が怖い?」
後ろから頭を撫でる
「ずっと嫌いって言ってる!」
涙で滲む眼差しで睨む
「あんたがっ!先に先生と俺達を裏切ったんだよ!」
「悠仁!」
五条の声に悠仁は顔を上げる
「だから七海に乗り換えようとするのか?」
両手首を押さえキスを迫るも
「…っ!」
首を振る
「…ちっ!」
舌打ちし
「僕は君を裏切らない」
再度キスを迫る
「僕は君を愛してるし、僕は君の前から消えない」
「ゃ…だ」
五条の顔を押さえキスを拒み続けると
「何をしてるんですか五条さん」
「ちっ!」
七海が五条を悠仁から引き剥がす
「全く油断もすきもない!」
ドクッ
ドクッ
ドクッ
「ナナミン…助かったぁ…」
「虎杖君すみませんでした」
悠仁を抱き寄せ
「ここも危ないから私のマンションに移動します」
悠仁を連れていこうとする
「なーなーみー!ひとの恋路を邪魔する奴は馬に蹴られろって知ってる?」
「黙れクソが!相手が嫌がってるのに恋もクソもない」
「ナナミン、俺ナナミンの側が良い。ナナミンがダメなら夜蛾さんとか」
五条を避け七海にしがみつく
「もうあの人殺しと一緒にさせられるのはやだ!」
「…っ!」
五条の口元が苦しげに歪む
「虎杖君…人殺しと言うなら…」
「悠仁、七海も人を殺してる。僕達は呪霊を祓うし、場合によっては人も殺す」
「でもあんたよりはマシだ」
「僕は悠仁を愛してるよ」
「…るさい…」
「君の中の宿儺を引き離す方法も考えてる」
「うるさいっ!もう俺に関わるな!俺は夏油先生の願いを叶えたいんだ!」
「虎杖君」
七海が名を呼びフードをかぶらせる
「そういう不穏な話はここでは止めなさい、
ここは君にとっては敵地です」
「ごめん」
ポンポンと頭を軽く叩く
「煽ったクズ…五条さんが悪いです」
「クズって…七海本音が出てない?」
「黙れ嫉妬に狂ったクズ!これ以上子供にのし掛かってどうするんですか?」
「あのさぁ!僕は嫉妬なんてしてない!嫉妬だなんて呪いそのものじゃん」
「そのものなんですよ。今も私に嫉妬してるでしょう?」
「そうなん?」
「ハアー!」
五条は前髪をかきむしり
「わかってんなら悠仁を返せ」
再度腕を伸ばすも
「悪いけどここだとナナミンが一番好き。あんたは一番大っ嫌い!」
七海の服を握り締める
「あんたの顔も見たくない」
伸ばした指を拳に変える
「お前って本当に呪いになったな」
俯き乾いた笑いを見せる
「僕は本気で君を愛してる」
ズキンッ
「そうやって人の良心につけこむの止めてくれん?」
感情を押し殺した悠仁の声
「つけこめるならつけこむよ」
悠仁の前に現れる五条は目を強くつぶる悠仁の額に軽くキスをする
「…次はちゃんと唇にさせて」
フード越しに頭を撫でる
「ごじょ…」
「ざぁ~とぉ~る~!」
拳を構えた夜蛾が現れ五条を引き摺って行く
「またね悠仁。返事を待ってる」
手を振る五条に悠仁は七海の顔に顔を埋めた
ズキンッ
「悠仁…『俺』は本気なんだよ」
「腹立たしいね!全く!」
荒々しく壁を叩く
「ここはおれの部屋だ、壊すな」
冷静な脹相に振り返り
襟首をつかむ
「君もねえ!勝手に私の許可なく他の男に体を許すと言うのはどう言うことだ?」
明らかに不機嫌な夏油に
「さっきまで余裕だったくせに」
「ああそうだね。君のその態度がムカついた!」
ハアと溜め息を吐き
「だったら早く言え」
夏油のズボンを下ろしペニスに舌を這わせる
「脹相?」
「お前との契約は続いている」
丁寧に舐め立たせる
「本当に君は…小賢しい」
夏油のキスを受ける
「お前は変わらないな」
珍しく笑みを浮かべる
「嫉妬深いのは相変わらずか」
「ふ…あの子のせいだ」
大して期待はしていなかったが
「本当にこの世界は面白い」
嫉妬と言う呪いに支配されている
続く
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