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34再終の呪い
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10月31日
「五条悟と悠仁の呪力だ」
真人が嬉しそうに呟く
『脹相、悠仁を回収したら直ぐに…』
「………」
無表情の脹相には意識を集中させているようで
「来る!」
人ごみをかき分け
「脹相!皆!」!
「「『悠仁!』」」
「脹相!」
脹相の懐に飛び込む
「ごめん。心配をかけた」
「いや、俺はお前を信じていた」
耳元で囁く
「計画は予定通りだ」
「分かった」
脹相から離れると
ポン
「ハナミン?」
『殺しますよ』
悠仁の頭に花御が手を置く
『あなたはここを離れなさい』
「うん…やっぱり…」
『私達は呪霊です。直ぐにべそをかくお人好しの猿は邪魔でしかない』
「泣いてねーし!」
顔を赤らめる悠仁に
『後で追い付きます』
「うん、ハナミン、待ってる!」
これからの悲劇に背を向け
「悠仁!」
悠仁は人ごみに紛れ消えていく
「くそっ!」
追いかけようとした五条の前に血を吐く人間が倒れ込んでくる
「脹相」
「弟が世話になったな」
「そんなことをすれば悠仁が悲しむ事は分かっているだろう?」
無表情の脹相だったが五条の言葉に眉が動く
「俺は呪霊でもある。俺の役目は弟達を守ることだ」
両手を合わせる
「弟達のためにもお前は死ね!」
構えた瞬間
「こいつがイタドリユージだ!」
「…っ!悠仁!」
人ごみの流れに逆らいながら進む
皆はパニック状態で誰も自分を無視していたのに
「お前何で向こうに行きたがるんだよ!」
男の1人に捕まった
「ごめん、そっちに用事があるんだ」
男を押し掛けようとするが
「お前…まさか…っ!こいつがイタドリユージだ!こいつのせいで俺達は閉じ込められたんだ!」
周りの人間が一斉にこちらを振り向く
一瞬怯むが
「……」
唇を舐め
「そうだよ。俺が虎杖悠仁だ」
皆の意識をこちらに向けた
「あの小僧!」
人間の意識が悠仁に集中したのを察した漏瑚が叫び
『くっ!』
花御も身動ぎするも
「悠仁なら大丈夫だ!俺の弟を信じろ!」
脹相が止める
「今はこいつだ!五条悟!」
穿血の構えを解かず
「あいつを殺すことが最優先事項だ!」
穿血を放ち周りの人間を射抜く
「ちっ!脹相を止めるのが先か?」
『私は…』
拳を握りしめる
「ハナミン!冷静になれ!」
『黙りなさい!私は冷静です』
そばにいた人間の頭を握りつぶす
『宿儺の器を守るのが私の役目です』
決してあの子の為ではない
すぐ近くに居る悠仁の為に
「駄目だハナミン!」
『悠仁!』
花御は人間を殺し
「お前からだ」
五条に祓われた
「そうだよ。俺が虎杖悠仁だ」
「お前のせいで!」
男が悠仁の襟首を掴み殴ろうとする
「良いよ。殴って。殺しても良い」
抵抗を見せない悠仁に怯む
「まあ俺を殺せばあいつらと同じ呪霊になるけど」
ハッタリをかます
びくりと震え後ろに下がる人間から後退る
「俺は人を殺したくない…」
兄に手を汚させながらも自分はきれいな偽善者で
「…ごめん…」
フードを深く被る
「ふざっけるな!」
いきなり拳が飛んでくる
「お前のせいでこうなってんだろ!ぶっ殺してやる!」
「…そうだな」
引いていた筈の人ごみが再度集まる
「殺せ!殺せ!」
暴徒化する人間の悪意
「ケヒッ!小僧ちゃんと見ておけ。これが人間の本質だ」
体の中の宿儺が嗤う
「俺と代われ小僧。このままでは死ぬぞ?」
「代わらない!五条を殺す為の作戦を邪魔するな!」
今支配権を代わればこの状況は打開できるが、仲間や兄が巻き込まれて死ぬ
「心配ない。お前の兄貴は殺さん。今の所役に立つからな」
「うっせーよ」
頬を叩く
「俺は誰も殺さない!」
自分を殺そうとする人間に当て身を食らわせ
「俺に構うな!」
人ごみを再度かき分けていると後方から上がる悲鳴
『悠仁!』
「えっ?あっ!ハナミン?」
人間を殺しながら悠仁に向かう
『仲間を…悠仁は殺させない!』
悠仁に手を伸ばすが
「お前の弱点はここだよな?」
五条が花御の枝の部分を引き抜き
「止め…」
悠仁が止める間もなく
「先ずは1匹」
「いやだぁーっ!ハナミン!ハナミン!」
花御は祓われた
「畜生…」
呻く悠仁に
「悠仁、僕から離れちゃ駄目だよ」
五条は悠仁の側に行くも
ビシャッ
「汚れた手で弟に触るな!」
脹相の穿血が五条に当たる前に弾かれる
「また…俺の仲間を殺すのか!あんたは!」
涙で滲んだ瞳が五条を睨む
「あいつらはお前を利用しているだけだ」
悠仁に再度手を伸ばすも
「来い!小僧!」
漏瑚が腕を引く
「漏瑚…ごめん…ごめん…俺のせいでハナミンが…」「花御の事は仕方ない。お前は自分の役目を果たせ。今はそれがお前の役割だ」
「うん」
涙を拭い
「絶対に五条はあそこに連れていく」
「悠仁、絶対に助けるから」
五条も移動する
「そろそろ時間だ」
悠仁の側に脹相が寄り添う
「悠仁、今から来るものに耐えられないから目を閉じていろ」
目を塞ごうとする脹相の手を押し退ける
「大丈夫。俺は呪いになるんだから」
下唇を噛む
「全部受け入れる」
やってきた電車に
「助かった!」
人間達の歓喜の声が上がり
停車した電車の中を見て絶望に変わる
「ごめん」
何度目かの謝罪
なだれ込む改造された人間達
「悠仁!迎えに来たよ」
真人が抱きつこうとするも
「お前は小僧に触るな!」
漏瑚が庇う
「えー?俺は悠仁の心配をしてだね」
「嘘つけ!それより作戦は?」
「上手くいってる」
ちゅ
額にキスをし笑顔を見せる
「五条をムカつかせて…」
ばきぃっ
「ふざけてんじゃねーぞ!」
「今死ぬか?」
悠仁に殴られた
「あームカつく」
意外に五条もムカついた様で
「呪霊が僕の物に触ってんじゃねえ」
「俺は誰のもんでもねーよ!」
怒鳴り付ける悠仁を
「さっさと来い小僧!」
漏瑚が悠仁を促し花御が死んだことを真人に知らせる
「俺のせいだ…」
俯く悠仁に
「悠仁のせいじゃないのはわかる」
頭を撫でる
「君が今生きて俺の前にいてくれてるのが嬉しい」
「…ありがと…」
「うん」
「領域展開…」
五条の声に
「悠仁!」
脹相が悠仁を遠くに投げる
五条の領域展開は悠仁以外の人間と呪霊に作用し
皆動かなくなる
と同時に
「獄門疆、開門」
小さな箱が開く
「や、悟、久しぶり」
懐かしい自分が殺した親友が現れる
「先生…」
謎の物体に捕らわれた五条を呆然と見つめる悠仁の頭に手を置き
「私の生徒を預かってくれてありがとう悟」
「傑…?」
「ただ悠仁と脹相にセクハラは良くない。悠仁に至っては未成年なんだから」
困ったように笑悠仁の隣に立つ
「お前誰だ?」
五条も夏油が偽物だと分かっているようで
「六眼は肉体と魂が夏油傑だといってるが俺の魂がそれを否定してるんだよ!」
「キッショ。何でわかるんだよ」
頭の縫い目のひもを引き抜き
「ひぃっ!」
頭の蓋を開く様に外す
「ああ、君には刺激が強かったね」
夏油が自らの術式を明かす
「悠仁が夏油君側に付いてきてくれて良かった」
悠仁の頭を撫でるも
悠仁は俯き震えていて
「可哀想に。余程怖い思いをしたんだね」
「お前のせいだよ。悠仁から離れろ変態!」
「あんたもだよ!」
悠仁の声に安心し
「悠仁、お前にはまだ仲間が居る。そいつじゃない」
五条は笑いかける
「悠仁を惑わすのは止めろ。この子は夏油君から譲られた大事な私の生徒だ」
悠仁を抱き締める
「悠仁、もう悟は君の前には現れない。もう次に解放されるのは100年後かそれ以上だ。邪魔者はいない」
「先生…五条だけじゃない」
「乙骨憂太か?私はあの子にそれ程期待してない」
「憂太さん…」
憂太の名前を呟く悠仁の腕を握
「痛い!」
「君にそいつは必要ない!君には私がいれば良い!」
腕を握りしめる夏油に
「傑、悠仁を泣かせてる奴がいんぞ。いつまで寝てんだ?」
悠仁の腕を掴んでいた腕の力が抜け
ぎゅうう
「先生!」
夏油の手が自身の首を締め上げる
「先生!先生!」
叫ぶ悠仁に
「あっはっはっは!こんな事は今までなかったのに!」
楽しそうに笑い
意識を戻した真人に悠仁を預ける
「おしゃべりはお仕舞いだ。お休み五条悟。新しい世界で…」
「悠仁」
びくぅ
五条に声を掛けられ
真人の背中越しに覗く
「悠仁、聞いちゃ駄目だ」
悠仁は隠れようとするも
五条の笑顔に目が離せない
「悠仁、愛してる」
「閉門」
箱はもとに戻り
五条は姿を消す
「悠仁!」
同じく意識を戻した脹相が悠仁を抱き締める
「お疲れ様悠仁。脹相、悠仁を少し休ませたら家に戻してやってくれ。ここからはこの子には荷が重い」
優しそうに見えて突き放した言葉に悠仁の表情が強ばる
「怒った?でも本当の事だ」
「夏油!悠仁を子供扱いするな」
脹相が不快な表情を見せる
「いや、良い。俺はただの足手まといだし」
悠仁が脹相すがり付く
「俺は今から作戦を遂行する」
耳元で囁く
「分かった。死ぬなよ」
「あんたもね」
にこりと笑い
夏油に向き直る
「先生」
「うん?どうかした?」
「前髪変!」
「…え?」
「その衣装もダサいし、うさんくさいし、ドクズだし、顔以外さいて…あだだだだ!」
ギリギリギリ
悠仁の頭を締め上げ
「全く…こんな状況で呑気だね」
呆れた声をあげる
「俺の好きなコミュニケーションだから」
「わざわざ私を怒らせるのが?」
「悠仁ってばマゾ?」
「こういう時だけ先生は俺を見てくれるから」
いつもの笑顔を見せる
「いつも君を見ているつもりだったんだが、お兄さんに構いすぎた?」
「うん。それでも良かった。一方的に俺が好きで付いていきたかったから」
夏油の首に腕を伸ばし背伸びして触れるだけのキスをする
「先生大好き!」
「君が縛りを解いたら好きなだけ愛せるよ」
「ううん。あんたじゃ駄目だ。夏油先生があんたを拒否したからあんたは敵だ」
再度触れるだけのキスをする
「先生、俺、高専側に付く」
「悠仁、君はお兄さんを裏切る気か?」
険しい表情を見える
「ううん。あんたが夏油先生の敵である以上俺はあんたに従えない」
夏油から離れ逃げて行く
「え?悠仁?どこに行くの?」
慌てて振り向く真人に
「悠仁はちょっとした反抗期だ」
携帯を取り出し何処かに電話をかける
「今写真を送った子供を見つけたら直ちに捕まえて私の元に連れてこい。傷は付けるな」
電話を切り
「君に配慮して無傷の確保にしてあげたよ」
「それはどうも」
夏油が脹相に笑かけるも脹相は無表情のままで
「悠仁の事は心配していない。俺の弟だから。それより高専の乙骨憂太と釘崎野薔薇だ。あいつらを殺して、残りの弟達を回収する」
「君はそうだよね。俺は悠仁を回収に回るよ。捕まえたらご褒美貰うしね」
「お前バカだろう?」
全員がそれぞれの持ち場に向かい
悠仁は
「ナーナーミーンーッ!五条が封印されたーっ!俺は高専に付くんで宜しくーっ!」
自分を捕まえようとする呪霊をはねのけながら叫ぶ
「俺が今出来るのはこれだけだ」
身を隠し多分来ているであろう憂太を探しにいった
「夏油先生大好き!」
だからこそ俺は絶対に先生を取り戻す
続く
次で終わります
件
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