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こんなに好きなのに。こんなに伝わらない。
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僕の名前は白石雪。僕は今日も唯くんに愛を伝えるんだ。
って言っても皆んなはなんのことかわかんないだろうから説明するね。まず僕が言ってる唯くんっていうのは、この教室のほらっ!あの席に座ってるイケメン!ちょっと髪が茶色くて、背が高くて、あのイケメンの人。僕の恋人の青崎唯くんだよ。高一の夏に付き合って、もうちょっとで記念日の8月14日なんだ〜。ふふっ。唯くんは優しくて、体が弱い僕にすっごく気遣ってくれる、とーっても素敵な彼氏なんだ!
でもついこの間喧嘩しちゃって今もピリピリしてるんだよね…。それでその喧嘩がさ、ほんっっとにくだらなくて、僕の嫉妬のせいなんだよね…。でも唯くんも悪くてさ、僕が購買にパンを買いに行こーって思って廊下を歩いてたら女の子とイチャイチャしてて、挙句の果てに腕を汲み出したんだよね…。僕と唯くんが恋人なことは誰にも言ってなかったからしょうがないんだけどさ、たとえ友達だったとしても腕汲む?!しかも唯くん、やめてーとか、腕離したりーとか、全然反抗してくれなくてさ…。さすがに嫉妬しちゃうよね!?まぁ唯くんイケメンだからしょうがないんだけどさ〜…。でもイライラする気持ち我慢して、気にしないようにしてたんだよ?だけどその後今度は違う女の子と机くっつけて、弁当食べてたの。僕のところに来てくれたっていいのに、ほかの女とわざわざ食べてたの…。優しい唯くんのことだから、お昼誘われて断りきれなかったのかなーとか色々考えたんだけど、結局爆発しちゃって放課後唯くん家に遊びに行った時にちょっと怒っちゃたんだよね。たしか…
「ねぇ、唯くん。実はモヤモヤすることがあってさ、たまたま見ちゃったんだけど、今日女の子と腕組んでなかった?あとお弁当も女の子と食べてたよね?」
「うん。」
「僕それに嫉妬しちゃったんだけど。クラス違うんだし、お昼ぐらい 僕のところに来てくれても良くない?結構ショックだったんだけど。」
「あー。ごめん。」
「…。なにそれ?それだけ?」
「別に他に言うことないし。」
「唯くん最近冷たくない?大して悪いと思ってないでしょ?もう僕のことなんてどうでもいいの?」
「…。」
「ねぇってば!!」
「…はぁ。うるさいなぁ。別に昼ぐらい誰と食ってもいいだろ。だいたい雪は嫉妬しすぎなんだよ。ネチネチネチネチめんどくさい。女かよ。」
まさか唯くんがこんな怒ると思わなくて、悲しくて、僕はこの後唯くんの家から飛び出しちゃったんだ。あんなふうに言われたことなんて初めてで怖くてたまらなかった。
その後のことはよく覚えてなくて、でも次に学校に来た時から唯くんが僕を無視するようになったんだ。
唯くーんって言ってもこっちを見てくれもしないし、ごめんねって言っても素通りされるし。LINEも置き手紙もぜーんぶ無視!酷くない?もうダメなのかなーって思ってはいるんだけど、別れるならちゃんとバイバイも言いたい。とにかくこのまま無視されて終わるなんてやなんだ。だから僕が好きってことを唯くんにとことん伝えよーって思ってはや1週間。…1週間。…や、やばくない?僕1週間何言っても無視されてるんだよ?こんなに可哀想なことある?どうしたらいいんだろ…。
あっ!そんなこと言ってたらもう帰る時間だ!ってことは唯くんにアタックチャーンス!学校が終わったら声かけ放題だから僕はこの時間に命かけてるんだ〜。ってことで雪、いっきまぁーーす!
「唯くん!」
「…。」
「ねぇ!唯くん!お話聞いて?」
「…。」
「ねぇ、唯くん!唯くん、僕唯くんのこと大好きだよ?だからちゃんと話し合おう?無視しないで。」
「…。」
「ねぇ、」
「ん?」
「!ゆ、唯くん?」
「ふぅー行くか。」
「?唯くん?どこに行くの?」
「…。」
「ねぇ、唯くん!」
結局このあと唯くんが僕の話を聞いてくれることはなく、唯くんの目的地まで追いかけることになった。
「ふぅー」
「?唯くんここどこ?」
「よし。」
また無視。って言うかここって……お墓?
「雪。」
「!!」
「来たぞ。1週間ぶりくらいかな。最近受験勉強で忙しくてな。あんまり来れなかった。ごめんな?元気か?実は最近お前に呼ばれてるような気がして、時間探して頑張ってきたんだ。なんならついさっきも呼ばれてる気がした。また俺の後ろノコノコ着いてきてんだろ。生きてた頃と変わらないな。」
そうはにかむ彼を見て僕は思い出しちゃったんだ。って言うか気づいてはいたんだけどね。唯くんは無視してたんじゃない。見えないんだよ。僕が_______死んでるから。
実を言うと僕のことを無視してたのは唯くんだけじゃないんだ。お母さんも、お父さんも、先生も、クラスメイトも、そこら辺を歩くよく知らない人もみんな僕のことは見えない。そりゃ死んでるからね。いわゆるそういうのが見える人は僕が見えたかもしれないけど。そんな人僕の周りにはいないし。この一週間僕は独りだった。だいたいもうちょっとで記念日の8月14日だったはずなのに、そこらじゅうに雪が積もってる。唯くんが受験勉強頑張ってる事もこの一週間でよくわかった。1年とちょっと僕はずっとお墓で眠っていたんだと思う。それからよくわかないけどおばけ(?)みたいになったんじゃないかな?あぁ、死因も今思い出した。心室細動だ。まぁ簡単に言うと心臓が変な動きしちゃって死んじゃったって感じかな?元々体は弱かったけど、まさか心臓が悪いなんて思いもしなかったよ。でも喧嘩して終わっちゃったとわな〜。悲しいな…。きっと死んだことに気づいちゃった僕はもう成仏的なのをすると思うんだ。わかんないけどそんな気がする。だから気付かないふりしてたのにまさか唯くんに着いて行ったら成仏することになるなんて思わなかったよ。上手くいかないものだね。
「え?」
「?」
「お前…雪…なのか?」
「え、えっと僕が見えるの?」
突然だった。無視されてた1週間のことが、独りだった1週間のことがこれっぽっちも気にならないぐらい嬉しかった。唯くんが気づいてくれたんだもん。
「…ぐすっ…雪なんだな?」
「っ…そうだよ。唯くん。」
「あぁ…。ごめんな。ずっと後悔してた。あの日雪と喧嘩したこと。まさか…っまさか急に死ぬなんて思わねぇじゃん。」
「ごめんね。ごめんね唯くん。大好き。大好きだよ。あぁ…唯くん。」
「あぁ俺もだよ。大好きだよ。愛してる。…返ってこいよ。」
「…。無理だよ。僕はもう死んだんだ。唯くんとは違う世界にいるんだ。死んだらもう戻れない。」
「…そう、だよな。ごめんな。大好きだ。大好きだよ。」
「うふふっ。僕も大好き。唯くん、受験勉強頑張ってね。それから僕の分まで頑張って生きるんだよ。唯くんは僕が生きた証だよ。」
「…うん。俺頑張るから、ちゃんと見とけよ。」
「もちろん。それから、僕のことはちゃんと忘れて新しい恋するんだよ。応援するから。」
「ばーか。する訳ねぇだろ。俺はずっと雪一筋だ。だからもうちょっと、あとちょっとだけ、そっちで待っといてくれ。」
「うん。ありがとう。ゆっくり来るんだよ。じゃあまたね。」
「うん、また。」
そうして白石雪が雪の結晶のようにきらきらと消えてゆく姿を唯は忘れることはありませんでした。
おしまい。
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読んでくれてありがとうございました!三日坊主な私に短編(短編というかもはやメモレベル)はぴったりでした!雪が死んでるの、序盤から気づいたエスパーさんはいらっしゃいましたか?どんでん返し!みたいなのを目指して頑張って書いたんですけど、難しかったですwまた気が向いたら色んな作品を書く予定なので、もしよかったら読んでみてください!ではまた(。・ω・)ノ゙
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