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7-②
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会社に着き、9時仕事開始
それぞれの担当している企業への資料や売上状況をまとめて、午後からの外出に備える
集中してパソコンと睨めっこしていた所、しばらくして隣から膝で小突かれた
隣をチラッと見れば、武藤がニヤニヤした顔がこちらを見ている
「なぁなぁ佐和、そう言えば例の彼女とは上手くいってるのかよ」
「は!?と、突然っ、な、お……俺は上手くいってると思うけど…いやいやいや、武藤そんな事いいから手動かせバカ!」
「バカとはひでぇな、首にキスマーク付けてる奴には言われたくねぇ~」
「へ?」
気がついて無いのか?とでも言いたそうな武藤が、わざわざ近くの女子から鏡を借りて位置を教えてくれる
驚いた
冗談かと思えば、襟に隠れるか隠れないかの所にクッキリと付けられた紅い印が見えて…
(え?いつの間に?つーか、これって付けたのって…)
荒木課長が?
俺に……
俺のモノ的な?
「嘘ッマジで嬉しい…」
「良かったな〜佐和、めちゃくちゃ彼女に愛されてるじゃん」
「え!そう?そうかな!武藤もそう思ー…」
「お前ら……仕事中にくっちゃべりやがって、いい度胸だな、ぁああ?」
「「ッ!!!!!」」
つい武藤にノせられ、いい気になってしまった罰
いつの間にいたのか後ろで仁王立ちしていた課長は鬼と化していて
それから30分はこぴっどく怒られた
ヘコんでいる俺とは違い、ケロリとしている武藤はさらに追い討ちを掛けるように、仕事も押し付けてきて怒涛に午前中が過ぎて行く
そして昼休み
荒木課長と廊下ですれ違えば、明らかに睨みを利かせた顔を俺に向けて来た
(うぅ…まだ怒っている…)
名前は出してないとはいえ、あんな話しをして、仕事の手を止めていれば怒って当たり前
プライベートは気さくでも、仕事は仕事ときっちりしている課長の性格もよく分かっている
気が緩んでいた俺が悪い
こんな事で愛想を尽かされる訳では無いけども
午後いっぱい営業で外出だし、訪問先は遠いからそのまま直帰していいとなっていて
「あ、あの……荒木課長!」
このまま週末を迎えるのも嫌で
どうしても今、話しかけたかった
「ぁあ?……なんだ佐和。お前これから外出だろうが」
「はい、今から出ます……えーと、その……午前中はすみませんでした」
「ああ、あれか…分かっていればいい。普段のお前は真面目過ぎるぐらいだから、さっきのは概ね武藤からけしかけられたんだろ?
まぁ、俺も少し言いすぎた。午後も頑張れよ」
「あ、ありがとうございますッ。これから行ってー…あっ!」
「どうした?」
声を掛けて良かった
課長の笑顔を見て、さっきまで重く沈んでいた気持ちが一気に軽くなる
それと同時に、心に余裕が出来たせいでさっき届いたメールの事が浮かぶ
「課長、この日本酒知っていますか?」
メールに添付されていた画像を開き、立派な箱に入った酒瓶を課長に見せる
その瞬間、課長から聞いた事もない声が発生した
「ッ、これ『百世不磨』じゃねぇか!お、お前これ」
「あ、やっぱりご存じなんですね。これから行く取引先の方が貰ったみたいなんですが、その方も周りもお酒が得意では無いそうで、持って帰るのも大変だから貰ってくれと…」
「は?ま、マジかよ…この日本酒はな、毎年本数作られねぇからあまり出回らないで有名なんだよッ。
辛口の割には口当たりがまろやからしくて、俺もずっと呑みたいと思ってたが、ただでさえ争奪戦なのに…」
饒舌に語る課長を見れば相当呑みたかった日本酒だと分かった
そんな課長を目にすれば…
「あ、あの…課長、今日俺、直帰なんですが、真っ直ぐ課長のお家にお邪魔させてもらってはダメ、ですか?」
「は?い、いや…」
一刻も早く堪能してもらいたい
嬉しそうにお酒を呑む課長を目の前で見たい
課長も自分がお酒を嗜む姿を想像したのか、喉が動いている
あともう少し
「今、俺魚料理にハマってて、もし課長が嫌いじゃなければ真鯛とか、どうかなぁと…」
「ちっ…ツマミは……用意しておく」
そう言った課長の顔がみるみるうちに紅くなって、睨みがキツくなった
嬉しいのを我慢している時の表情
それを見た瞬間
「はいっ!!」
俺の口からは勢い良く言葉が飛び出していた
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