アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ネガポジ 4-④
-
チラッと横の陽向を見る
今まで特定の誰かと一緒にいる事も、学校に来ては誰とも喋る事もなく毎日が過ぎていたはずなのに
それが陽向のせいで一変して
コイツが寄って来ると
煩わしい、迷惑、そんな感情しか持たなかったのが
だんだんと嬉しい、楽しい、そんな感情にスイッチしていき
いつの間にか心地良いとも感じていて…
(これが友達か…)
そう思ったら、自然と顔がニヤけていた
人付き合いがずっと苦手で、1人でいる事は苦じゃなかった
でも楽しそうに笑い合っているグループを見ると、心のどこかでは羨ましいと感じていて
少し言動はおかしい陽向だが、そんな俺にも初めての友達が出来たと思ったら、浮き足立つもの仕方がなく
(今度は勉強会か…いつがいいかな)
笑みが勝手に溢れてしまっていた
そして学校から10分足らずの駅までの道のりは普段よりあっという間で、目の前には駅があって
「あーーッ、もう着いちゃった」
と、残念がる陽向から、はいっと傘を渡される
受け取った瞬間
それが少しだけ寂しい、名残惜しいと感じてしまった自分自身に内心焦った
「陰井、サンキュー!じゃあ、また明日」
「あ、あぁ…」
手を振りまくる陽向が駅の構内に向け、歩き出した、のに…
立ち止まったと思いきやクルッと方向を変え、また俺の方に向かって来る
「なんだ?どうした?」
「あー…うんッ、陰井に忘れ物しちゃって」
「いや、ノートはさっき貰ったが…」
また傘の中に入ってきた陽向が傘の柄を掴み、傘が傾いた
「おい、どうー…」
満面の笑顔に気を取られていたのもある
肩に手を置かれ
陽向が少し顔を斜めにし、ゆっくりと近づいてきて…
「え?」
「今のは周りに見られてないからオッケーね!じゃあ陰井また明日なッ」
笑顔はさっきのまんま
いや、さっきまでの笑顔よりももっと嬉しそうで、陽向の頬には赤みが差して…
「よっしゃーーーッ」
馬鹿デカイ声を上げ、ジャンプする陽向の背中が駅構内に見えなくなるまで、今の出来事がフラッシュバックする
すでに2度されているから覚えてしまった
唇に触れた柔らかい感触
お互いの鼻が擦れる感覚
「ーーーっ、、」
3度目
そう思った途端、体温が上昇していく
陽向以上に顔が熱くなっていくのが、止められなかった
(忘れ物ってせ、せせ、接吻の事かッ)
いくら傘が壁の役割を果たしてたとしても、ここは人が往来する場所であって
人前の意味…
(まったく理解してないじゃないかアイツはッ)
その後ぶっ倒れる事は無かったが、駅員さんに
『君、大丈夫かい?30分以上ずっとここにいるけど…』
そう声を掛けられるまで、俺の体は固まったままになっていたらしい
■■■■■■■■■■■
陰井くんの陽向くんに対する想いは少しずつ良くなって来ています
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
68 / 75