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好きになったキッカケは、あまり覚えてない。
子どもの頃から側にいてくれて
優しくしてくれたから。
あとは視線。
俺はそんなに母さんに似てる?
昼休みの教室は、弁当なんかの匂いと楽しそうなざわめきで混沌としている。
俺は一番後ろの席から、その景色をぼんやり眺めていた。
「また、昼食べないの?」
前の席から、ナオが話しかけてきた。
「まあね」
「ふーん」
自分から話しかけてきたくせに興味のなさそうな返事をされて。
「これ以上成長したら困るから。」
そんな風に言葉を付け足してしまう。
「これ、あげる。」
そう言って机の上に投げられたのは、コーヒー味の豆乳。
「大豆イソフラボン的なモノが女性ホルモンには良いらしいよ。」
別に女になりたい訳じゃ無いけど、さすがに空腹で紙パックにストローを差し込む。
「優子さんも背高かったから、まだ成長しても大丈夫なんじゃない?」
色んな事を見透かしたような口振りのナオを、今度は無視して窓の外に視線を移す。
高校に入学して約半年。
高くなった空は、もう秋のもので何となく寂しく感じる。
この半年で急に伸び始めた身長は、今では170センチになっていて。
少しずつ成長して母親とは違ってしまう事に焦りを感じていた。
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