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どうしてって聞く俺に、父さんが話し始めた。
「父さん達はね、母さんに好きな人ができて、それで離婚したんだ。」
そういえば、今まで離婚の理由とか聞いた事なかった。
「母さんは、その人と再婚したの?」
俺の問いかけに、父さんが首を振る。
「何で?離婚までして」
「母さんが好きになったのは、紘史だったんだ。」
信じられない言葉に、父さんを見つめる。
「父さんは、母さんの事が好きで、好き過ぎて。自分から離れて紘史の所に行くなんて許せなかったんだよ。」
父さん、やめて。
聞きたくない。
そう言いたいのに、喉の奥が苦しくて、そんな言葉すら声に出せない。
「だから離婚した時、母さんに言ったんだ。もう、紘史にもお前にも会わせないって。裁判して、お前の親権も手に入れた。お前が父さんの元に居れば、いつかきっと母さんは戻ってきてくれるって思ったから。」
父さんが、ごめんなって謝る。
「でももう、そんな事は終わりにしようって思ったんだ。13年考え続けて、やっと解った。人の気持ちは自分の思い通りにはならないし、好きな人にはやっぱり幸せになって欲しいって。」
「母さんはヒロの事、まだ好きなのかな?」
震えそうになる声で訊く。
「たぶんね。」
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