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目覚ましよりも早く目が覚めた三条は眠い目を擦りながら手を伸ばした。
硬いモノにぶつかるとそれを手繰り寄せる。
そうして手にしたタブレットを寝惚け眼を見れば、既に長岡は起床していた。
イヤホンを耳に突っ込めばカザカザと布切れの音がする。
着替えているのだろうか。
「正宗さん、おはようございます」
一応声だけかけると、すぐに画面いっぱいに端正な顔が写る。
『はよ。
早いな』
「目が覚めちゃいました」
『春休みなのにもったいねぇ』
「正宗さん見送りたいですし丁度良いです。
それに、二度寝も出来ちゃいますし」
『しとけしとけ。
それが出来んのは今だけだぞ』
寝起きの三条はいつにも増して、ふにゃぁとだらしない笑顔を浮かべる。
それが大好きな長岡にはとても穏やかな表情でネクタイを締め上げた。
慣れた行動なのだろう仕草に朝から胸がキュンキュンと締め付けられる。
ぽふっと枕に頬をくっ付け残りの身支度を見守る。
やっぱりスーツ似合うよな
格好良い
俺の恋人……ふへ…っ
俺の
ワイシャツにネクタイを締め、セータも着た。
まだ換気するには寒い季節なので沢山着込んで欲しい。
この世情ではなくても体調が優れないと心配だ。
それに、直接会いたいから。
『画面越しなのに、すげぇ視線感じんだけど。
飽きねぇなぁ』
「飽きませんよ。
どの角度から見ても大好きです」
『朝から誘うなよ』
「そんなのしてませんって…」
なににせよ、長岡が楽しそうで良かった。
あたたかなふとんから抜け出しベッドの上に座り込み、スマホのアラームを解除する。
長岡は適当に髪を整え、どんどん大人の姿へと変わっていっている。
『帰ってきたらゲームしような』
「はいっ。
楽しみです」
『俺も。
ご褒美あると仕事頑張れる』
仕事で部屋を離れてしまうのは寂しいが、三条もその間に済ませる事があるのでそちらとしっかり向き合うつもりだ。
あと僅かになった春休みの話。
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