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ヤクルトのボトルを手渡すと小さな両手がしっかりと握った。
綾登には丁度良いサイズだ。
羨ましい。
自分が飲むにはちょっと、というかだいぶ小さい。
これをゴクゴクと飲めるのは大人の特権だが、この大人の身体のサイズに体しての量が欲しいんだ。
「はい」
「あっとます」
「どういたしまして。
あっちで蜜柑食べてようか」
「ん」
とてとてと幼児の歩き方で先を歩くまあるい頭を見下ろした。
「なぁに?」
つい、ポン、ポンと触れてしまう。
やわらかくて細い髪も触り心地が良い。
なんとなく長岡が頭を触ってくる理由が分かるようだ。
「可愛いなぁって思って触った」
「あーと、かわい?」
「可愛いよ」
「ふふっ。
はぅとも、かぁーいよ!」
脚にしがみつく幼い弟。
可愛いと言われご満悦の表情で六月喜んでいる。
これが可愛くて甘やかしてしまう自覚もある。
やっぱり弟という存在は危険だ。
脚に引っ付けたままゆっくり歩くと綾登は更に喜んだ。
「えへへっ、へへっ」
「あ、甘えたがいる」
「ゆーと、きた!」
「お、ヤクルトじゃん。
俺も飲も」
着替えてきた優登と兄を挟みながら蜜柑を食べる綾登はとても楽しそうだった。
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