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今年もこの季節になった。
「綺麗ですね!」
「あぁ。
ここは日当たりが良いから咲き始めんのも早いな」
やっぱり春には桜を見ないとな。
勿論、恋人と。
春の楽しみの1つだろ。
この季節の似合う恋人はころころと笑ってご機嫌だ。
この顔を見たいが為に誘っている部分もあるほど、好きな顔。
やっぱり何度見ても良い。
最高だ。
咲き始めたばかりは、他に人もおらず2人じめ。
それもまた心を満たす。
夜はやっぱり平等だ。
「やっぱ、遥登と見る桜は良いな」
「今年も正宗さんと見られて嬉しいです。
こうやって見るのが1番綺麗です」
ただ、気持ちを伝えただけだった。
それなのに、三条はとても嬉しそうに頷く。
そして、嬉しい言葉を更に添えてくれる。
遥登が好きだと身体中が叫ぶ。
桜の色が映える肌を赤らめ喜ぶその子の手を握った
「俺も、遥登と桜見られてすっげぇ嬉しい。
来年も一緒に見ような」
「はいっ。
勿論です」
「来年こそは、弁当持ってこれると良いな」
「また、おにぎり沢山作って来たいですね」
誰もいないのを良いことに、暫しデートだ。
あとは綻ぶのを待つばかりの花に春の訪れを知り、1年という短さをしみじみと噛み締めた。
「なんか桜餅食べたいですね」
「コンビニ行くか?
春なら売ってんだろ」
「折角、手を繋いでるから後でにします。
今は正宗さんです」
「そういうとこだぞ」
手を引き身体を近付けるとスマホを構える。
「ほら、ピース」
「へへっ」
だらしない顔をした男がカメラに収まる。
だけど、世界で1番しあわせそうだ。
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