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「ごちそうさまでした」
軽く手を合わせて一緒に持ってきたウェットティッシュで粉の付いた手と口元を拭う。
溢してないとは思うが、服も確認だ。
そんな横顔に、同じく食べ終わりお茶を飲んでいた恋人から声がかかる。
「そうだ。
今度オナニーする時は、香水使ってくれよ」
「え…?」
「オナニー。
あ、指示オナもすっか?
遥登、好きだもんな」
三条のクリクリした目が、より丸くなる。
長岡は気にする事もなく、ペットボトルの蓋を締めながら続きを紡ぐ。
「俺の服着て香水振り撒けば、部屋っぽさでんだろ。
目隠ししても良いからな」
指示オナ……
目隠し……
いつもの事だが、この綺麗な顔から直接的表現が出るとドキドキしてしまう。
なんだかイケナイ気持ちになるというか。
こればかりは、いつまで経っても慣れない。
「な、遥登」
漸く自分を向いた目は、男の色を滲ませてはいるが普段の優しいものだ。
これはからかいとかではない。
多分。
「それ、は……」
「恥ずかしい?」
「……、はい」
「恥ずかしいのは?」
「正宗さんと、だけ」
長岡とだから、はしたない姿も晒せる。
それは事実なのだが、恥ずかしいものは恥ずかしい。
羞恥心がなくなる訳ではない。
「正宗さんとしか出来ませんけど……、正宗とだからすごくドキドキするんです。
恥ずかしい…です……」
「今すぐホテル連れ込みてぇ…。
行くか?
ゴムはコンビニで買うし」
「なんでですか」
「嬉しいこと言うから、俺も喜ばせようかと思って」
言葉を履こうと口を開いたが、なんの音も出ず閉じられた。
なら。
長岡の手首を掴むと自分の胸に触れてもらう。
「心臓、壊れそです…」
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