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三条は定位置へと腰をおろし、ちびちびとコーヒーを啜る。
インスタントでも長岡が淹れてくれるととても美味しく感じるから不思議だ。
大切に飲んでいく。
「はーる、手ぇ貸してくれるか」
「はい。
なんでしょうか?」
「この前のお礼」
この前のお礼…?
なんかしたっけ?
不思議に思っていると、差し出した手元から金属音がした。
それと同時に冷たい感覚。
視線を長岡から手首に下ろせば、いつかと使われた玩具の手錠が嵌められていた。
え…、手錠……
「逃げないようにするだけだから安心しろ。
すぐ外す。
あ、でも、あんま暴れんな。
傷でも付いたら親御さんにバレるからな」
「逃げるって……」
「大丈夫。
勉強したから」
今度は縄だ。
久し振りに見た。
じゃなくて、この前のってなんだ。
怒ってる?
いや、顔も空気も怒ってはいない。
寧ろ楽しそう。
「ちょっと縛るな」
手錠が腕の方へと押し上げられ晒された手首にタオルを巻かれる。
そして、その上から縄で縛りはじめた。
逃げないように、の意味は理解出来た。
確かにこれなら逃げられない。
仮の拘束か。
なぜか冷静になり頭の動きが良くなる。
「この前のって……」
「ヌいてくれたろ。
きもちーく」
「処理……、ですか」
「うん。
あの時は助かった。
気持ちかったし。
だから、俺も遥登の性処理の手伝いすんだよ。
俺はちんこが感じて、遥登はケツが感じる。
それだけの違いだ。
同じだろ」
「ちが…い、ます」
やばい。
やばい。
完全にスイッチが入ってしまっている。
どこにそんな要素があった?
違う。
“勉強した”ということは、前々からするつもりだったんだ。
ハッとした時には、もう腕が動かせなくなっていた。
そのまま脚にも縄が這い、ソファに拘束されていく。
長岡の勉強した、という言葉に嘘はなく迷いなくスルスルと縄が滑っていった。
「股開いたら脱げなくなるから、先に脱がしとくな」
「……っ!!」
こんな明るい部屋で自分だけが下半身丸出し。
勃ってないから尚更間抜けだ。
僅かに身を捩ると、ソファがギシ……と軋む。
「ごめんなさいっ、生意気でした」
「ん?
別に、んな事思ってねぇよ。
あ、仕返しだと思ってんのか?
違げぇからな」
「ほん、と…ですか」
「俺、そんなんするように見えるか?」
「いえ……」
「なら、大人しく縛られとけよ」
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