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Vol.Ⅱ【9】
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『アッッ!!ぢぃっ!!』
『わっ!シノブっ!』
あー、アホ。
アイロンを持ち上げてスチーム掛けしていたら、
先端を左手首に一瞬だけ付けてしまった。
たった1秒でも触れたら、
業務用のアイロンの高熱では、
立派な火傷になってしまうから、
俺達の腕には無数の勲章が残っているワケだけど。
『いい加減、
オレ達レベルでその火傷は、
そろそろハズいぞ?』
すかさず火傷用の塗り薬とガーゼを持ってきてくれたバーチーが、
手当てをしながら失笑した。
『すんまへん。
ちょっと考え事しちゃいまして。』
『シノブこそ詮索してんだろ。』
『そうだなー。
俺が接客したお客様だし。』
『若いの?そのお客様。』
『ん、たぶん俺達よりは歳下。』
『可愛い系?綺麗系?』
『男だぞ?』
『解ってるよ。
恐らくコッチの人だろ?』
言いながら、
右手の甲を左の頬に付けて、
瞼をパチクリと瞬かせるから、
どうやらバーチーと俺の詮索結果は一致しているようだ。
『で?どっち系?』
『どっちかってゆーと、
可愛い系かな?
いや、でも綺麗系か?』
『つか、オレも接客したことあるんだよな?』
『そうだね。
いつも夜に来るみたいだから。』
『あー、じゃぁあの人かな。
確か…渡邊さん?』
『な、なんで?
なんで解った??』
『なんか印象に残るんだよね、あの人。
間違いなく男ではあるんだけど、
すごく動きがしなやかっつーか儚いっつーか。
区役所に勤めてるんだよ。』
『はっ?区役所っ??』
スーツ勤めとは言え、
まさかの公務員とは。
でもこれって、
立派な仕事に就いているアユムくんの、
とんでもない素性を知ってしまったことにならないか?
そう思ったと同時に、
あまりかいたことがない変な汗を、
額にジワリと感じた。
『たまたま2週間くらい前に住民票を取りに行ったら、
トイレで鉢合わせしてさ。
どっかで見たことあるなと思ったら思い出して、
声をかけたら、
【ここで働いてるんです】って恥ずかしそうに言ってた。』
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