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Vol.Ⅲ【11】
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2分もしないでバーチーが外へ出てきたから立ち上がると、
慌てて俺をベンチに押し戻してきた。
『な、何っっ?』
『シーーっ!
今、出てくる。』
『何がっっ?』
『いいから黙って!』
右隣に座って体をコチラに向け、
まるで俺を隠すように身を寄せるから、
仕方なく従って身を潜める。
バーチーの肩越しに自動ドアへと視線を送ると、
Yシャツにネクタイ姿の30前半くらいの男が出てきて。
数秒の間を空けて、
その後を追うようにYシャツの男がもうひとり出てきた時、
あまりの衝撃で息を吸い込みすぎてむせそうになった。
『ぁ…アユム、くん、だ。』
『だよな。』
バーチーもゆっくりとベンチの背凭れに寄り掛かり、
ふたりの行方を目で追うと、
店の角のスペースに停まっている白いポルシェに乗り込んだ。
店から漏れる灯りで、
右の助手席に座るアユムくんが微かに照らされて、
俺達の方から軽く俯く横顔を確認出来た。
『ボーリング場の先ってさ、
ラブホ街だったよな。』
『ま、まぁな。』
『この道を左折したら、
あのふたりの関係は恐らく。』
『いや、まさか…。』
すると、
運転席側から手が伸びてきて、
アユムくんの後頭部に回って撫でたから、
反射的に目を反らしてしまった。
そしてすぐにポルシェが後退して動き出し、
切り替えて出入り口へと前進していく。
右にウィンカーを上げてくれ。
そう思った矢先、
点滅したのは無情にも左のウィンカーで。
自分でも戸惑う程、
気持ちが急激に堕ちていって、
それ以上見送ることは出来なかった。
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