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"キュッ"から"ギュッ"
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「人、すごいですね。」
ライブ会場に入り、席に着くも、葵くんは落ち着かない様子でキョロキョロしていた。
初めてのライブという事もあってか、葵くんは随分緊張している様だった。
「落ち着かない?」
「少しだけ。でも、すぐ慣れると思うから大丈夫です。」
そう言った葵くんの握った拳は少し震えていた。
「なんかごめんな。無理に誘っちゃって。」
「全然です。行きたいって言ったのは僕ですし。」
「まぁ、始まったら楽しいからさ!」
言うと同時に、会場が暗くなった。
「え、停電…?」
葵くんがそう言うと、俺の袖をキュッと掴んだ。
その行動があまりにも可愛くて、思わずドキッとしてしまった。
「はは、停電じゃないよ!これから始まるんだよ。ほら、映画館と一緒。映画始まる時、暗くなるでしょ?」
「あ、なるほど…。」
暗くて分からなかったけど、多分葵くん、顔赤くしているんだろうな。
ステージ上に"ブラックナイン"のメンバーが登場し、演奏が始まる。
大好きなライブの久しぶりのライブに興奮しながらも、爆音に驚いていないかが心配で葵くんの様子を伺う。
でも、葵くんは、食い入るようにステージ上を見ていた。
俺の袖を掴んでいた葵くんの手の力がキュッからギュッに少し強まったのを感じた。
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