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αの男
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体育館裏、コンクリートで出来た階段に腰掛ける
運動して火照った体にそれはひんやりと感じられて心地よかった
陸「ウッ、口ん中入った」
鉄の味に顔をしかめ、ペッと唾を吐き出す
マネージャーが持ってきてくれた冷却剤を鼻の頭に当てるが、あまり効果は期待出来ない
下を向き、延々と流れ出る血をティッシュで受け止めていた
10分ほど経っただろうか
ガラガラと体育館の引き戸が開く音がした
見ると、例の巨体な新入生が水筒を片手に外へ出てくるところだった
男はペコリと会釈をして少し離れた場所に腰を下ろす
新入生「...」
陸「...」
新入生「...」
陸「...」
新入生「怪我ですか」
陸「へっ?」
男が急に声をかけるものだから、情けなく裏返った声が出た
男の視線は俺の隣に積み上がった赤いティッシュの山に注がれている
お前を見ていたせいでボールを顔面に受けた、なんて
言えない言えない
陸「いや、ただの鼻血」
先程の間抜けな返事を撤回するべく、すまし顔で、クールを装う
あくまで先輩だぞと
新入生「そっすか」
男はそれ以上詮索することもなく視線をグラウンドの方へやり、ゴクゴクと水筒の水を喉へ流し込んだ
その喉仏が大きく上下するのを横目に見ながら、俺はようやく落ち着いてきた鼻血に安堵し丸めたティッシュを鼻に詰めた
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