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危機
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体育館から保健室までは直線距離で80mほど
徐々に動きの重くなってゆく脚で、壁つたいに廊下を進む
きっと今、フェロモンはダダ漏れだ
薬を家に忘れたため、昼の分を飲んでいないから尚更
授業中で他の生徒が近くにいない事が幸いだった
保健室の先生は♀Ωだと、1年の時に人に聞かされて知った
Ω性が教師を務めていることが世間的にも珍しかったし、自分がΩということもあり当時純粋に興味を持っていた
これまで保健室を利用する機会もなく、実際にその先生に会うのは初めてだ
陸「っう...はぁ、はぁ...ッ...はぁ」
そんな事をぼんやりと考えながら歩くこと数分
保健室まで残り5m
1分、1秒おきに、着実に重くなる症状
体はもう限界だった
陸「ふ、ぅ...ッ」
扉の前、ノックしようと伸ばした手が触れるより先に、引き戸が勢いよく開いた
驚いて目を見開く俺の前、開いた戸の向こう側に、長い黒髪を一つに束ねた綺麗な女性が立っていた
「すっごい濃い匂いしたから驚いちゃった、大丈夫?」
噂に聞いていた♀Ωの先生だろうか
胸元の教員証には内山と書かれている
内山先生は俺を見るなり、肩を抱いて室内へと招き入れ、ベッドへと導いた
内山「ベッド、横になっていいから。辛かった?」
火照った俺の頬に濡らしたタオルをあてがい、心配そうに背中を撫でる
Ωだからか、辛さを理解しているようだった
同じΩ
なんだか、安心した
内山「それにしても、すっごい濃いよ、フェロモン。私でもクラクラしちゃうくらい。ちゃんと抑制剤飲んでる?」
タオルを絞りながら内山先生が話しかける
陸「家、に...忘れて......」
ベッドの上で丸くなり、荒い呼吸のなか途切れ途切れ、ぼうっとする頭で答えた
ゾワゾワと寒気のような、妙な感覚が絶えず全身を駆け巡る
内山「学校で薬出せないから、今日は家に帰りなさいね。迎え呼べる?」
陸「...」
両親は共働きな上、今は丁度出張中だ
俺は丸まったままフルフルと首を横に振る
内山先生は困ったように息を吐き、水を一杯くれた
内山「私、これからちょっと外出しなきゃいけないの。どうしても外せない案件で」
ベッドの端に座り、俺の背中に喋りかける
内山「戻ってきたら家まで送ってあげるから、それまで辛いと思うけど、少しだけ我慢してくれる?」
内山先生は申し訳なさそうに、そして優しく言う
俺は無言で頷くだけの返答をした
それを見ると内山先生はベッドのカーテンを閉め保健室を出ていった
シン、と静まり返る部屋
荒い呼吸と心臓の鼓動だけが耳鳴りのように響いている
陸「ん、っはぁ...はぁ、ぅ...はぁ...」
下腹の中心がジクジクと熱を持っている
本能だと分かっていても、嫌気が差す
陸「ン...はぁ.......は、ぁ..............クソ...ックソ......」
握りしめた拳をベッドのシーツに押し付けた
校内に授業終了のチャイムが響き渡り、窓の外から生徒の笑い声が聞こえてくる
その無邪気な笑い声に、俺の胸は更に締め付けられるのだった
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