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孤独な一週間
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ピロン
ピロン、ピロン
陸「…」
締め切ったカーテンの隙間からは既に西日が差し込んでいる
薄い毛布にくるまれたまま、ベッド脇の棚に置いた携帯電話を手探りで掴んだ
寝起きの目にブルーライトの白々しい光が容赦なく入り込む
17:04
携帯の画面は見事に通知で埋まっていた
『成北高校2年5組:今日の体育は雨で自習に変更です。体操服要らんよー(10時間前)』
『父:写真が送信されました(10時間前)』
『父:今日の朝メシ(^^)(10時間前)』
『母:元気?(9時間前)』
『母:来週末くらいには帰れそう(9時間前)』
『純平:また休みかよ(9時間前)』
『LINEバイト:単純作業!掛け持ちOK時給1100〜友達と一緒に…(3時間前)』
『純平:りく〜(2時間前)』
『純平:教科書勝手に借りちゃうぞー(2時間前)』
『樹:陸、明日も来ないのか?(1分前)』
『樹:おまえいないと純平がうるさい(1分前)』
『純平:まじで大丈夫か?(今)』
『樹:今日見舞い行く(今)』
ロック画面に表示された通知はほとんど樹と純平だった
発情期4日目、そろそろ風邪という言い訳も苦しくなってきた頃だ
中学3年生の時初めての発情期を経験してから、樹にはインフルエンザやおたふく風邪、ギックリ腰など多彩な言い訳を繰り出してきた
よくもまあ、毎度騙されてくれるよな
ピロン
『樹:プリンとシュークリームどっちが食いたい?』
暗くなった画面に再び新たなメッセージが表示された
本当に見舞いに来る気らしい
陸「…」
『陸:GODIVAの新作』
正直今は何も食いたくないが、樹の気持ちは素直に嬉しかった
メッセージを送信してすぐに樹からのメッセージが届く
ピロンピロン
『樹:贅沢。ワガママ言う奴にはどっちもあげませーん』
『樹:うまい棒で我慢しろ』
ふ、と笑いがこぼれる
画面の向こうで樹が笑っているのが想像出来た
『陸:鬼ー非道徳ー病人に優しくしろー』
辛い時にこんな冗談を言い合える友人がいる俺は幸せなのかもしれない
『陸:けど、ごめん』
『陸:今回はまじで具合悪い』
『陸:見舞いは遠慮して』
続けて送信した文面は少し素っ気なかったか
ピロン
少し間が空いて、樹からのメッセージ
『樹:そか』
『樹:悪い、大事にな』
俺がΩじゃなければ、こんな気を遣わせる事もなかっただろう
樹が良い奴であればあるほど
俺の心は苦しくなる
ピロン
『樹:次学校来る時は元気マシマシで来いよ!そんでいちごミルク奢れ♡』
『陸:お前純平だろ』
『樹:ばれた〜』
明らかに文面が変わったと思えばやはり純平だ
樹の携帯で俺にメッセージを送ってきた
いつものノリが安心する
陸「早く戻りてえなあ」
携帯を枕元に放り、ゴロンと仰向けになる
静かな部屋
トクトクと心臓の音を感じながらぼんやりと白い天井を見上げた
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