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風邪
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放課後、部活動を終え片付けも済んだ頃
俺は何となく虎岩の事が気にかかっていた
無事に帰っただろうか
誰もいない部屋で一人、布団に包まる虎岩の姿を想像して、俺は同情にも似た感情を抱いていた
樹「りーく。帰ろうぜ」
陸「んー…悪い、今日ちょっと用事できた」
樹「この時間に?珍しいな」
部員達が続々と体育館を後にし、手を振り合っている
そんな中、俺は虎岩に差し入れを持っていこうと決めた
あの様子では、きっと一人で食事を用意する事などできないだろうから
ゼリーとか、リンゴとか、アイスとか
冷たい物を差し入れよう
陸「じゃーな!」
樹「気をつけて行けよ」
樹と別れると、俺は荷物を持ち保健室へ向かった
虎岩の住所を内山先生から聞き出すつもりだ
18時になろうかというこの時間だ、先生は既に帰ってしまったのではないかという不安があったが、保健室の窓を見るとまだ明かりがついていた
片手に荷物を持ち直し戸を開くと、内山先生が帰り支度をしているところだった
内山「あら、どしたの」
陸「先生、虎岩ん家ってどこすか?」
唐突ね、と笑いながらこちらに向き直る内山先生
内山「そんなこと聞いてどうするの?」
普段勤務中に着ている白衣を脱ぎ、自前のコートを羽織る
淡いベージュの、薄い春物のコートだ
陸「ちょっと、見舞いに行こうかなって」
内山「ふーん…仲良いんだね、彼と。学年違うのに」
陸「別に、仲良くは、ないっすけど」
内山先生は微笑ましいと言わんばかりに目を細めてみせた
俺はなんだか照れてしまって、内山先生から目を背ける
そんな俺を見つめ、何やら考え、そして閃いたように内山先生は目を開いた
陸「…?なんすか」
内山「…んーん、何でもない」
まるでいたずらっ子のような笑みを浮かべ、面白そうに俺の方を見る先生
内山「あ、虎岩君の家はね、このコンビニを北に少し行った所の…この辺!」
先生はメモ帳に簡単な地図を書いて俺に手渡すと、じゃあね、気をつけて行きなさいねと手を振りながら去っていった
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