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風邪
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インターホンが鳴った
薄ら目を開き、薄暗くなった部屋の天井を見る
恭二郎「(誰だ?)」
頭がガンガンと痛む
どれだけ体に毛布を巻き付けても悪寒が止まない
完全に風邪だ、自分が情けない
丁度熱さまシートを交換する頃だ
俺はむくりと立ち上がった
・
・
・
陸「よ」
恭二郎「…」
先輩だった
どうしてここに先輩が?
全く予想もしなかった人物の訪問に驚きを隠せない
先輩がビニール袋を俺に差し出す
まさか、差し入れを持ってきたのか
わざわざ、俺の為に
俺は頭痛のする頭でグルグルと考える
先輩は礼だと言った
礼をされるような覚えはなかった
先輩を襲った奴を投げ飛ばしたのは、俺の勝手だ
俺の体が勝手に動いたからだ
それでも俺は嬉しくなって
つい頬が緩みそうになる
じっと俺を見つめる先輩の目は綺麗に澄んでいた
心の綺麗な人なんだと思った
何故か慌てて帰ってゆく先輩の背中を、俺はずっと見つめていた
先輩の影が消えるまで、目を離さなかった
見ていたかった
何故か?
わからない
パタンと扉を閉め、鍵をかける
・
・
・
恭二郎「(ゼリー、皮剥きリンゴ、プリン、アイス、ポカリ…)」
先輩が持ってきた袋の中には、沢山の食べ物が入っていた
喉を通りやすいものばかり
袋の底に、チロルチョコが数種類転がっていた
ふ、と笑いが溢れる
俺は心がフワフワして、胸の奥がじんわりと暖かくなるような、そんな感覚を味わっていた
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