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αとΩ
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陸「周りには言ってない。βって事にしてる」
やってしまった
配慮が足りなかった
俺は心の底から反省していた
Ω性の人間が社会で上手く生きてゆくには、相当な努力と精神力が必要であることは理解していたつもりだった
だからこそ先輩のΩとは思えぬ生き生きとした生活ぶりに純粋に敬意を評したかった
それなのに
Ω性がΩ性である事を隠して生活をする、そのような場合を想定することもせず、安易に言葉を紡いだ
迂闊だった
先輩は、いかにも慣れているといった調子で気丈に振舞ったが、その瞳の奥の暗い部分に、感情は感じられなかった
自ら心を殺している
そんな風に見えた
俺はそんな先輩を見ていられなくて、つい出過ぎた事を口走る
恭二郎「俺には嘘吐かなくていいですから」
勢いに任せて飛び出した自らの言葉にたちまち赤面する
何故か先輩まで顔を赤くしていた
アンパンを咀嚼しつつ空を見上げる
綺麗な空だ
伝えた事に、後悔はない
この人の弱さを受け止めたいと
心からそう思った
先輩を見ていると何故か胸が苦しくて堪らなくなる
俺がαで先輩がΩだからだろうか
違う
もっと別の理由がある気がする
アンパンを飲み込むと、同時に先輩も焼きそばパンを飲み込むところだった
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