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楽しいお昼休み
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突然訪れた賑やかな空気に、俺は付いて行く事を諦めた
先輩達は楽しそうに会話を繰り広げている
普段から仲が良いのだろう、会話の内容から彼らの関係性を容易に考察する事ができた
高橋先輩が、一方の先輩の頭を撫でる
『純平』と呼ばれたその人は、フワフワとして少し色素の薄い猫っ毛を不造作に乱され犬のように喜んだ
そんな些細な場面を見て、俺のみぞおちの辺りにはたちまち黒い靄ようなものが渦巻き気分を暗くする
その黒い靄を払拭するように、俺は遠い空の雲を見た
陸「チョコ好きだろ」
差し出された菓子箱
高橋先輩が俺を気遣っているように思えた
妙にそわそわして落ち着かない
三人の先輩らは、きっととてつもない絆で結ばれている
俺の立ち入る隙など無い
そう思えた
立ち入る隙?
果て、俺は何故立ち入る隙などを探しているのか
高橋先輩が楽しそうに笑う度、胸がチクリと刺すように痛む
何故だ
これまでは、先輩が笑うと俺の胸は温かく満たされたのに
今はまるで逆だ
俺は俺の心を理解出来なかった
初めての感情に、戸惑っていた
純平「虎っちはどっち派?」
陸「お前の事よ」
一人頭の中で己の感情の処理に苦しむ俺に、先輩らは陽気にも話を振る
気の良い人達だ
それなのに、この胸の晴れぬ気分は一体何だ
恭二郎「俺は…キノコ派です」
結局答えは分からないまま
俺達は昼休み終了の時刻を迎えた
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