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雨
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陸「はぁ、はぁ、はぁ」
呼吸はみるみる荒くなり、心臓の音が耳鳴りのようにうるさく聞こえていた
陸「(あれから20分しか経ってないぞ…)」
全身の体温が上昇していく感覚に、発情期に突入した事を悟る
早退をした俺の判断は正解だったようだ
陸「はぁ、はぁ…ぅ…」
傘を持つ手が震える
徐々に足元がおぼつかなくなり、できる事なら座り込んでしまいたかった
陸「早く帰らないと…」
高架下、閑散とした道を一人ふらつく足取りで一歩ずつ前進する
そんな時だった
「んん?お前、あの時の二年だよな」
不意に後ろから声がかかり、驚いて振り返るとそこには見覚えのある男が半笑いで立っていた
陸「お前…」
私服姿で若干雰囲気が変わっているが、馴れ馴れしく近寄るその男は、以前保健室で出くわした三年生に間違いない
αだ
「また発情期?何で出歩いてんの、笑えるんだけど」
陸「…煩い」
普段から人のあまり居ない道、加えてあいにくの雨で人通りは皆無だった
最悪の場所で、最悪の相手
俺はつくづく運に嫌われているようだ
「おい、待てって!」
無視を決め、くるりと体の向きを戻しつかつかとその場を去ろうとする俺の肩を男は強引に掴むと、力任せに引き寄せた
αのにおいが鼻先を掠め、思わず力が抜ける
持っていた傘が手から滑り落ち、悲しい音を立てて地面に転がった
陸「っ、っ」
急接近した男から漂うαのフェロモンが、容赦なく俺の鼻腔に流れ込み充満する
俺はとうとう立っていられなくなり、ふらふらとその場に座り込んだ
男は力の抜けた俺の腕を持つと、無理矢理引き上げるようにして自らの肩へ回し、はたから見れば親切に肩を貸しているかのような格好で歩き出した
俺の顔のすぐ横で、興奮したようなやや荒い鼻息が聞こえる
口角を上げ、気味の悪い笑みを浮かべながら男はどこかへ向かっているようだった
αのにおいに脳をやられ、朦朧とする意識の中で俺は考えた
このすぐ近くに、小さな公園がある事を俺は知っている
設備はたった一つの滑り台と、多目的トイレがポツンとあるだけ
まるで人気のない、見ていて可哀想とすら思える公園だった
陸「気色わりぃ事、考えてんじゃ…ねえよ」
精一杯の悪態を吐きなが、必死で自我を保とうとする俺に構わず男は更に足を進める
わざとなのか、脇腹に添えられた男の手が時折撫でるように動き、その都度俺の体は反射的に強ばった
そしてあっという間に目的地に到着したらしい、目の前には予想通り多目的トイレが堂々と構えていた
この男の考えそうな事だ
陸「っクソ野郎が…!」
必死の抵抗も虚しくまんまと多目的トイレへ引きずり込まれてしまった
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