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お風呂
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恭二郎「先輩」
目を開くと虎岩の顔が視界いっぱいに映っていた
恭二郎「大丈夫すか、うなされてましたよ」
そう言って心配そうに俺を覗き込む虎岩の顔
その大きな手のひらは俺の肩に遠慮がちに添えられていた
辺りに視線を巡らせ、そこが虎岩恭二郎の部屋であることを認識する
陸「夢見てた」
恭二郎「夢、すか」
おぼろげに覚えているその夢は、恐ろしく、そして優しかった
陸「ん…俺、どれくらい寝てた?」
頭をポリポリとかきながら重い上半身をゆっくりと起こす
そこへ、どうぞ、と差し出されるペットボトルの水をどうも、と受け取り、乾いた喉へ流し込んだ
恭二郎「そんな経ってないっすよ。30分くらいすかね」
陸「短っ、もっと寝た気した」
ベッド脇に置かれた目覚まし時計を見ると、丁度午後5時をまわったところだった
電気の付いた部屋を改めて見渡す
衣装棚、小さなローテーブル、座布団、参考書や辞書の並んだ本棚、そしてシングルベッド
必要最低限の物しか無い、殺風景な部屋だ
先程から微かに聞こえている機械音は、空調機の音だろうか
眠る前よりも部屋が涼しくなっていることに気付く
恭二郎「良かったら風呂、どうぞ」
そう言って虎岩は真っ白なバスタオルを俺に手渡す
そういえば、体中がベタベタとしていて心地が悪い
真夏に冷房も付けず体を重ねるなんて、俺も虎岩も大概頭が沸いていた
雨で濡れた髪の毛もまだ乾ききっておらず、このままでは風邪をひいてしまいそうだ
陸「お前は?」
恭二郎「俺は…先輩の後に」
陸「良いのかよ、お前のウチなのに」
虎岩は構わないと言って風呂の方へ俺を案内する
鉛のように重い脚を引きずって虎岩の後に続くと、独立洗面台の横、引き戸の向こうに浴槽付のシャワー室があった
陸「(純平の家ですらユニットバスだぞ…)」
高校生のひとり暮らしにしては優良物件すぎるその内装に小さな驚きが連続する
スポーツ推薦入学ということは、奨学金、家賃補助が出ているのだろうか
独立洗面台に浴槽付のシャワー室
一体家賃はいくらなんだ
陸「ゆ、湯が張ってある」
恭二郎「さっき入れました」
本当に何なんだこの大男は
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