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お風呂
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こめかみに温かいものが触れる
柔らかくて、優しい何かが
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恭二郎「…!」
本能に呑まれ狭くなっていた視界がすうっと広く明瞭になる
同時に、口の中に感じる鉄の味
自分が先輩の肩に歯を立てているその状況を数秒ほどかけてようやく理解し、慌てて口を離した
くっきりと残る歯型から滲む赤い血に、ドッ、ドと心臓が鳴っている
先輩が果てたあたりから記憶が無い
思い返されるのは絶えず溢れる先輩の香り
うなじ、耳の先まで真っ赤に染めたその後ろ姿
本能に抗いながら、なんとか平静を保つ脳の片隅で思っていた
この人は今、どんな顔をしている?
指を動かしている間にも段々と濃度を増す先輩の香りに、徐々に思考は偏ってゆく
触れたい
もっと触れていたい
離したくない
自分のものにしたい
離したくない
離したくない
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陸「…大丈夫?」
恭二郎「………ス」
先輩が俺の頭をクシャクシャと撫でる
恭二郎「…すみません、俺」
陸「いいよ、痛くない」
恭二郎「嘘、すよね、血ぃ出てます」
出血する程の力で人を噛むなんて
自分で自分を叱りつけながら傷口を睨みつける
陸「お前の方こそ、しんどかったんだろ、付き合わせてごめんな」
ありがとう、と言って先輩は再び俺の頭を撫でた
陸「それよりさ…そろそろ手、離してくんね」
恭二郎「え、あっ、すんません」
無意識にきつく先輩の体を抱き締めたままだった腕を指摘され焦って離す
先輩はよいしょ、と重たそうに腰を上げると、俺に手を差し出した
その手を素直に取って立ち上がる
先輩は無言でシャワーの栓をひねり、湯を出した
陸「洗い直しだわ」
やれやれといった様子で眉を上げ、いたずらっ子のように少し笑ってみせる
その優しさが痛いくらいに胸に沁み込んだ
陸「ほら、お前も」
恭二郎「お…」
陸「ついでだから一緒に洗っちまおうぜ」
身につけていたTシャツと下着を半ば強引に脱がされ、熱いシャワーを頭から浴びせられる
下を向いた俺の顔を熱い湯が滑り落ちてゆく
目の奥が熱かったが、それもシャワーのせいだと思った
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