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お風呂
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結局そのまま二人して体を洗い、すっかり冷めてしまった湯に差し湯をして二人で浸かった
二人で浸かるには狭すぎた浴槽からはみるみる湯が溢れ出し、俺たちが出たあとには湯はほとんど残っていなかった
陸「あ、俺、下着汚れたままだ…」
バスタオルで体を拭き風呂場を出た頃、あまり嬉しくない状況に気が付く
せっかくシャワーを浴びたのに、また汚れた下着を履かなければならないのかと俺が一人落ち込んでいると、虎岩の声
恭二郎「俺の貸しますよ。嫌じゃなければっスけど」
陸「えっ有難えけど、むしろお前が嫌じゃないん」
恭二郎「全く」
陸「あ、そう…」
早速どうぞと差し出された下着をおずおずと受け取る
灰色無地のシンプルな下着だ
陸「(絶対ユニクロや…)」
さっさと下着を履き服を身につける虎岩に続いて、受け取った下着を有難く着用する
それはサイズが合わなかったが、履かないよりは遥かにマシだ
恭二郎「先輩」
陸「ん?」
俺が自身のTシャツを身につけようと手をかけた時、虎岩の声がかかる
恭二郎「傷、手当てしましょう」
見ると虎岩は何やら手に持った黒いポーチから消毒液を取り出そうとしていた
陸「え、いいよ別に」
恭二郎「手当てした方が良いと思います」
陸「大袈裟だな」
恭二郎「大袈裟じゃないっス、血、まだちょっと出てます」
断っても聞かないだろうから、俺は早々に折れた
陸「適当でいいから」
恭二郎「動かないでください」
陸「あ、はい」
ベッドに並んで座り虎岩から手当を受ける
虎岩の顔は真剣そのもので、時折眉間にシワを寄せ複雑そうな表情をチラつかせながらも、丁寧に傷口を消毒してくれた
陸「…お前さ、夏でも湯船浸かるんだな」
なんとなく気まずくて、俺は適当に話を振る
恭二郎「ああ…まあ、体調管理の一環で」
陸「へー」
毎日浴槽に浸かる事は、食事睡眠に並びとても重要な習慣だと虎岩は言った
日々の生活が柔道のパフォーマンスに直結する
さながらアスリートの私生活を垣間見ているようだ
陸「強さの秘訣って感じだな」
恭二郎「…別に、俺は言われてるほど強くないっスよ」
陸「謙虚かよ。全国三連覇って噂になってるぞ」
恭二郎「あれは団体で、上級生も一緒だったんで…俺個人じゃ、全然っス」
虎岩は傷口にガーゼを当て、テープで固定しながら言った
俺は知っている。真に力を秘めている者ほど、こうやって謙虚に慎ましく生きるものなのだ
恭二郎「……っし、終わりました」
陸「サンキュー」
綺麗に手当された箇所を手でさすり、改めてTシャツに手を伸ばす
恭二郎「あ、それ濡れてません?俺の服貸します」
陸「お前は仏さまか?」
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