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ウロくんの王様講座3
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「完璧な王がいる国は、多くの民にとってとても良い場所になるでしょ? だからなんだよ。あの大陸は、とても目をつけられやすい。事が起これば、円卓の国々の総力を以て対処して貰わなくちゃならないし、場合によっては辛勝になる。そうなれば、きっと多くが死ぬだろう。そういう、とても大変な役目を担わせているから、その分良い思いをするべきだと考えたんじゃないかな?」
そう言ったウロの指先が、幻の塔をなぞり、底の知れない昏い瞳がこちらを見た。
「王一人の犠牲でその他の多くに幸いがもたらされるのならば、これほど素晴らしいことはないだろう」
深淵を宿す目が、ゆるりと弧を描く。
「まさに、神の所業さ。あの人に悪気は一切ない。それどころか、一種の慈愛すら抱いていると思うよ。そして事実として、これ以上に人々が幸せになれる選択肢もない。あの人は絶対に間違わないからね。そして、王は正しく贄となった。……うん。だから、王という生き物は、あの世界の贄だと言うのが正解かな」
そう言ったウロの手が、神の塔を握り潰した。ぐにゃりと歪んだ幻が、砂が崩れるようにしてさらさらと消えていく。
「それとも、君たちが気になるのは個々の話かな? でも、それは本当に大差ないんだよ。全員漏れなく、根底にあるのは奉仕の念さ。根が同じなんだから、育つ枝葉も似たり寄ったりになるでしょ? ……まあ、そうだねぇ。頑張って些細な違いを抽出してみるとしたら……、」
そう言ったウロが、脚を組むのをやめて、居住まいを正した。
「王とは」
その言葉を発すると同時に、ウロの姿が歪み、みるみるうちに赤の王の姿になる。そしてその口から、赤の王の声が滑り落ちた。
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