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ウロくんの王様講座6
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「うーん、こんなところかなぁ。どう? 満足して貰えた?」
くすくすと愛らしく笑うウロが、椅子の肘掛を指先で叩く。
「ん? ああ、今のは全部本当のことだよ。一人一人の意識をきちんとトレースしたから間違いない。何せ根幹が同じだから、一番形の異なる枝葉を探すのは結構大変だったんだけどね。……え? 赤の王? ああ、彼のあの考え方は、確かにあの人が望むそれとは著しく異なっているねぇ。現状は民の意思が保全に向いているから成り立っているけど、ひとたび破壊に傾けば、史上最悪の王にもなり得る。でも、あの王様だけは簡単に処理できるものでもないから、やっぱり厄介だろうなぁ。まあ、お陰で僕も遊べてる訳なんだけど」
そう呟いたウロが、椅子から立ち上がった。同時に、彼が座っていた椅子がさらりと崩れて消える。
「さ、話はこれくらいにしておこうか。ネタバレが好きな人はそんなにいないでしょ? ……え?」
悪戯っぽく笑ったウロは、次いでこてりと首を傾げた。
「こうして話しているのは大丈夫なのかって? ああ、天秤の話だね」
ふふふ、と笑んだウロが、まるで虫けらでも見るような目をしてこちらを見た。
「君たちの世界は柱の世界じゃないからね。よっぽどのことがない限り、あの人は干渉しないよ。そうだなぁ、たとえば僕がここでこの世界を壊そうとしたら、もしかすると動きはするのかもしれないけど……。……いや、どうかなぁ? 末端の世界なんて、その辺に転がっている石ころみたいなものだ。柱さえ無事なら、代わりはいくらだって作れる。だから、やっぱり干渉しないんじゃないかな?」
でも、とウロが言葉を続ける。
「だからこそ、この世界は平穏だよ。僕もあいつらも、わざわざ石ころをどうこうしようなんて思わないからね。狙うならやっぱり、あの人が嫌がる場所に限る」
そう言う彼の目は、間違いなくこちらへの興味を一切感じさせない。だからこそ、自分はこの場に存在することができているのだろう。彼がひとたびこちらに興味を示せば、その瞬間に頭がどうかしてしまうのではないかという恐怖が全身を襲った。
「ふふふふふ。どう? 謎は解けた? それとも、また新たな謎が生まれたかな? でも残念、今回はこれで終わりだ。僕は初めから結末が決まっていることを知っているけど、君たちはそうじゃない。なら、これ以上は無粋だもんね?」
そう言ったウロが、ぱちんと指を鳴らす。それを合図に視界が真っ白になり、抗えないほど強烈な眠気が襲ってきたのを感じる間もなく、意識が遠のいていく。
――結末のその先で、もし君たちにまだ興味があるようなら、話をしてあげないこともないよ。
霞む意識の端で、そんな声が聞こえた気がした。
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