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各国壁ドン事情 緑の国編2
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薄ら寒くなった背筋に、二人が黙り込む。しばし重苦しい沈黙が二人の間に横たわったあと、先に口を開いたのは同僚の方だった。
「……でもやっぱ、陛下にして貰いてぇな」
「まだ言うのか。豪胆な奴だな……」
呆れを通り越して半ば感心したような声で衛兵が言えば、だってロマンを感じたいだろうと謎の主張が返ってきた。
「ロマンねぇ」
「ロマンだ。だってパウリーネ王陛下からの壁ドンだぞ? されてぇだろ? 流行にのっとってさぁ」
「わたくしからの、壁ドン、ですか?」
「そうですそうです、陛下からの壁ド、」
そこまで言って、衛兵たちは口を閉じた。一拍の間を空けて、揃って背後を振り返る。
果たしてそこに居たのは、
「パッ、パパ、パウリーネ王陛下……!」
先程から何度も会話に登場していた人物、当代の緑の王が、二人の背後に立っていたのだ。それを認識するや否や、衛兵二人の顔面が蒼白になる。
「ごきげんよう。良く勤めを果たしていますか?」
「はっ、はい!」
「異常ありません!」
「それは何よりですわ」
背筋を正して返答する衛兵に、緑の王は小さく頷いた。対する衛兵二人は、全身が緊張でガチガチに固まっている。
普段なら、いくら王との会話と言っても、ここまで緊張することはない。寧ろ、声をかけられて光栄だと、舞い上がらんばかりの気持ちになりさえするのだが、如何せん状況が圧倒的によろしくなかった。どう考えても、壁ドンがどうのという世迷言をばっちり聞かれていることは明らかである。
緑の王は立ち去ることなく、二人の前に立っている。たかだか衛兵を前に未だに立ち去らないのは、恐らく先ほどの世迷言について何か思うところがあるのだろう。
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