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各国壁ドン事情 緑の国編3
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脂汗を滲ませている衛兵たちの背筋は、緊張のあまりとても寒い。そんな中、緑の王の静かな目が、世迷言を口にした方の衛兵に向けられた。
「そこの貴方」
「はいっ、何でございましょうか!」
「わたくしからの壁ドンを受けたいと、言っていましたわね?」
「ッ、ぅ、……は、はい……」
王に問われては答えないない訳にいかない。そう思って、彼はしおしおと消え入るような声で肯定した。
「そのようなものが流行しているとは知りませんでしたわ。そんなにも、壁ドンというものをされたいのですか?」
ああ、終わったな。
自分に矛先が向かなかったことに内心でほっとしつつ、残った方の衛兵は、ちらりと同僚の様子を窺った。憐れなことに、同僚の顔色は蒼白を通り越して真っ白になっている。
まあでも自業自得だからな。最悪のことになっても骨くらいは拾ってやる。
そんな気持ちで、じっと息を潜めるように緑の王と同僚を窺っていると、不意に王が困ったような顔で首を傾げた。
「わたくしは構いませんが、本当に良いのですか?」
「えっ」
「は?」
ほぼ同時に間抜けな音を漏らした二人は、無礼も忘れて王の顔をまじまじと見てしまった。少しの間惚けていた二人だったが、襲い来る困惑から立ち直るのが僅かに早かったのは、お調子者の衛兵の方だった。
「……よ、よろしいのですか?」
恐る恐る彼がそう訊ねれば、相変わらず少しばかり困ったような表情の王は、それでも確かに頷いた。
途端、血の気が失せた顔をしていた衛兵の頬に、みるみるうちに赤みが差した。対するもう一人は、未だ動揺に呑まれたまま、相方と王の会話を呆然と聞いている。
「パッ、パウリーネ王陛下に壁ドンをして頂けるとは、恐悦至極でございますっ!」
「そうなのですか? そこまで喜ぶほどのことなのでしょうか……」
「はい! 勿論です!」
喜色満面の衛兵がそう言えば、王はやはり困った顔のまま、それでも少しだけ微笑んで返した。
「……そうですか。しかし、本当に、やっても良いのですか?」
「是非お願い致します!」
こんなチャンス逃してなるものか、という気迫すら感じさせる勢いで、衛兵がそう言う。それを受け、王も決心したようだった。
「判りましたわ。そこまで言うのであれば」
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