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各国壁ドン事情 緑の国編4
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あれ、と。
そこでふと、真面目な方の衛兵は気づく。壁ドンをして貰えると高揚している方は、舞い上がっているせいか気にも留めていないようだが、先程から王がやたらと確認を繰り返している。それこそしつこいくらいに。
壁ドンを頼んでいる側が、本当にして頂けるのかと何度も確認をするなら判るが、する側である王が、そんなにも念を押すようなことがあるだろうか。
しても良いと言い始めたのは、王自身だ。であれば、壁ドンをしたくないから遠回しに断っている、ということもあるまい。第一、断るなら断るで、きっぱりはっきり言う方である。
衛兵の胸に、なんだか嫌な予感がよぎった。
陛下、と。真面目な衛兵がそう声をかけようとするのと、王が右手を同僚に向けてかざすのが、ほぼ同時だった。
「風霊」
柔らかな声が風霊の名を紡いだ瞬間、嵐のごとき突風が吹き荒れ、凄まじい勢いで同僚の身体が吹っ飛ばされた。
残された衛兵が、飛んでいく同僚の姿を目で追えば、吹き飛んだ勢いのままの彼が、庭園を囲む壁に叩き付けられるのが見えた。
緑の王が喚んだ突風は、軽鎧を着込んだ大の大人をいとも容易く吹き飛ばしてしまったのだ。
少しの間、呆けた顔でそれを見ていた衛兵は、はっと我に返り、慌てて同僚の元へと駆け寄った。
「だっ、大丈夫か!?」
身動きひとつしない身体を見て死んだのではないかと思った衛兵だったが、よくよく確認すれば、目を回して意識を失っているだけのようだった。しかし、壁がへこみ崩れる勢いで叩き付けられた以上、完全に無事とはいかないだろう。
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