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各国壁ドン事情 橙の国編3
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「えっ!? この情報だけで!?」
「マジですか!?」
「いやいや流石の陛下でもそれは難しいっしょ!」
好き勝手に詰め寄ってくる兵たちに対し、王はすっくと立ち上がった。
「いいや、確かに儂は判ったぞ! 今ここで、お前たちに見せてやろう!」
自信満々に仁王立ちする王には、流石の威風があり、兵たちは思わず黙り込んでしまう。いや、威圧された訳ではない。もっと単純に、俺たちの王陛下カッケェ……と感動しただけである。
そんな兵たちが固唾を呑んで見守る中、橙の王はばっと片手を天に向かって振り上げ、大声で叫んだ。
「行くぞォオオオッ、地霊ィイイイイッ!!」
王の叫びを受け、凄まじい地響きと共に大地が揺れた。鍛え抜かれた兵たちが思わずよろけるほどの揺れの中、微動だにせず大地を踏みしめてる王は、流石と言うべきか。
そして次の瞬間、王の足元の地面が、ドォォォォンという地鳴りを響かせて隆起した。
それはもう目を瞠るほどの勢いで天高く大地が伸び上がっていき、その大地の上に立っている王の姿が、あっという間に豆粒のようになる。こうして生まれた土の壁は、壁と言うにはあまりにも分厚く、高く、範囲もやたらと広いので、最早ものすごく高い台地が生成されたと言っても過言ではなかった。
兵たちが呆気に取られるなか、遥けき高みより下を見下ろした王が、ぐっと拳を突き上げた。
「どうだぁお前たち! 儂の壁ドンに勝るものはおらんだろう!!」
わっはっは、と、物理的な距離をものともしない声量で、王が豪快に笑う。そんな自国の王を見て少しの間呆けていた兵たちは、はっとするや否や、ふるふると肩を震わせた。
そして、
「す、すっげぇええええ!! 流石はライオテッド王!! 超すっげぇ!!!!」
「やべぇ!! マジではんぱねぇ!!」
「かっけぇええ!!」
「うぉおおお!! 陛下ァ!! 最ッ高ですぅうう!!」
「陛下ああああああっ!!」
「ばんざい!! ばんざい!!」
「ライオテッド王!! ばんざーい!!!」
その場の兵と言う兵が全員立ち上がり、拳を突き上げ、偉大なる王へと惜しみない歓声を飛ばす。なにせ一人当たりの体積が大きい上、筋肉と筋肉とそして筋肉という状況では発生する熱量も大変多いので、なんというか、むさ苦しい光景である。
だが、そんな光景を非常に好ましいと感じる王は、浴びる歓声の嵐に一際大きな笑い声を上げ、天高らかに吠えてみせた。
「わっははははははは!! これが儂の壁ドンだああああああッ!!!」
橙の王が隆起させたこの壁もどきは壁ドンとして民に広く親しまれることになるのだが、咎める者が誰もいないどころか、こぞって真似をし始める、という国家の現状を憂いた橙の王獣が、後日こっそりと元の地形に戻したそうである。
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