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各国壁ドン事情 萌木の国編3
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ぽん、と手を打った王に、臣下が不思議そうな視線を向ける。一方の子供たちは、王の納得したような声を聞いて、ようやく王がいることに気づいたようだ。王様だ、と口々に驚く声を上げ、わらわらと寄って来た子供たちに向かって微笑みを浮かべた王は、次いで臣下の方を振り返った。
「ようやく判ったよ。そういうことだったんだね」
「は、はい?」
「ほら、壁ドンだよ」
「は、あの、壁ドンが、如何されたのでしょうか?」
なんのことやらさっぱりな様子の臣下が尋ねたが、萌木の王はそれには返答せず、自分たちや子供たちから少し離れた場所をすっと指差した。
「陛下……?」
「――|易々たる造形《ファレ・ファツィル》」
王が魔法の名を唱えると同時に、湧き出た水が流れ出して草木の下にある土を巻きこみ、王の示した場所に集まって行った。そしてそれは見る見るうちに、大きな二つの物体へと変化する。
壁だ。そこそこの大きさの、壁である。
ごく普通の壁が二枚現れた、ならばまあ、別に良い。いや、良くはないし意図も不明だが、まあ良いことにする。だが王が作ったその壁には、明らかにおかしい部分があった。王以外の、その場にいる人間の目が、その異様な部分に釘付けになる。
足である。
二枚の壁は、それぞれが二本の人間の足のようなもので自立していたのだ。
率直に言って気色悪い物体だが、なんでこんなものをと思った臣下が王を見やれば、王は何故だか満足そうな顔をしている。どうやら魔法が失敗して得体の知れないものが生み出された訳ではないらしい。いや、万が一にも王が魔法を失敗するようなことはないのだろうけれど、と臣下は思った。
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