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各国壁ドン事情 黄の国編1
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活気に満ちた黄の国の市場。その一角が他にも増してとても賑やかに姦しい。
きゃあきゃあと黄色い声と、たまに混じる野太い声。その中心にいるのは、黄の国の王であるクラリオ・アラン・リィンセンだった。
「クラリオ様ぁー!」
「ああん、今日もとってもかっこいいー!」
「はーい皆ありがとー! 皆も今日も可愛いよぉ!」
ぱちん、とウインクをした陽気な声がそう言えば、王を取り巻く女性陣からは一際高い嬌声が沸き上がった。
リアンジュナイル大陸一の女ったらし《プレイボーイ》として名を馳せる彼は、今日も今日とて城を抜け出し、城下にて女性たちと戯れることに精を出していた。
ちなみにいつもの如く、ほぼ無断の外出である。ほぼ、と表したのは、完全なる無断外出ではないからだ。黄の王は王宮を抜け出す際、必ず誰かにそれを告げてから出て行くのである。と言っても、丁度近くにいた人間に、それじゃあ俺ちょっと女の子と遊んで来るからよろしく、と一言告げるだけで、基本的に返事は聞かずに飛び出していくので、某赤の王と比べればマシという程度のものだ。ただ、黄の王自身はこうして外出を宣言することで免罪符を得ようとしているのか、誰も捕まらなかった場合は一応書き置きを残していく、という律儀っぷりを発揮している。どうせ発揮するなら別のところで発揮しろ、とは王獣リァンの心の声である。
ちなみに王自身は、女性の様子を見に行くのは公務の一環だ、と公言して憚らないため、外出に対する罪悪感は欠片も抱いていない。王である俺が公務をして何が悪いのか、と自信たっぷりに言ってのける王に、最早臣下たちは諦めている様子だった。
そんなわけで本日も公務に余念が無い王は、女性陣に全力で愛想を振りまいたり、男性陣に乾いた対応を取ったりと忙しない。
そんな中、とある女性がそれを言い出した。
「クラリオ様ぁ、あのぉ、お願いがあるんですけれどもぉ」
「なになになぁにー? 可愛い君の頼みだったらぁ、俺なんでもしちゃう!」
「私ぃ、クラリオ様に壁ドンして頂きたいんですぅ」
「ん、壁ドン?」
王が首を傾げた瞬間、王を中心に騒がしかったその場が、水を打ったように静まり返った。
突然の沈黙が支配する中、黄の王はするりと自然な動きで、壁ドンを要求してきた女性を近くの壁に追い詰めると、
「こう?」
とん、と壁についた両腕の間に件の女性を閉じ込めつつ、身を屈めて顔を覗き込むようにして笑った。
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