アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
各国壁ドン事情 銀の国編4
-
「えっ、エルズディ王陛下! 大変申し訳ございません!」
悲鳴じみた声でそう言った母親は、真っ青な顔のまま、少年の頭を押さえつけるようにして下げさせた。そして、ほとんど同時に自分も深く頭を下げる。
そんな母親に対し、王は面を上げよと静かに命じた。
「民の言葉を聞くのも、国王の務めである」
「し、しかし……」
「構わぬ。子供と言うものは、何事にも好奇心旺盛に首を突っ込むものだ」
そう言った王は、顔を上げた少年の大きな目ときっちり視線を合わせ、見つめながら、ゆっくり言い聞かせるように言葉を紡いだ。
「しかし、お主も栄えあるエルキディタータリエンデ王国の民であるのならば、それに恥じぬ思慮深い行動ができるよう、良く学びなさい」
はらはらとした母親や周囲の視線を一身に浴びながら、少年は数回瞬きを繰り返した。
「はい! たくさん、おべんきょう、します!」
ぴっと背筋を正し、一際大きな声で少年がそう宣言すると、王は静かに頷いた。
「良い子だな」
王の言葉に、褒められたのだと自覚した少年が、ふくふくとした頬を喜びに赤く染めた。
「ありがとう、ございます!」
そんな二人のやり取りに、周囲には安堵の空気が流れ、どことなく張り詰めていたものが、ゆるりと解ける。
あからさまに顔色が良くなった母親は、王に深く礼を述べてから、少年の手を引いて下がろうとした。如何に許されたとはいえ、放っておいたら我が子が再びとんでもないことをしでかすのではないかと、気が気ではなかったのだ。
しかし、そんな彼女を引きとめるように、王が再び少年と目を合わせる。まだ何かあるのだろうか、と身を固くした母親をよそに、王は少年に向かって問いを投げかけた。
「して、お主。壁ドン、とはどのようなものなのだ?」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
46 / 102